3年間1軍マウンドなし…アドゥワ7年目の再起へ
広島・アドゥワ誠投手(24)が復活を懸けたシーズンに臨む。2年目の18年にはリリーフとしてフル回転し53試合に登板、19年は先発に転向し3勝を挙げた。順風に見られたが20年に右肘を痛めて手術。以来、3年間は1軍のマウンドから遠ざかっている。プロ7年目の今季こそ再び1軍で輝いてみせる。
このオフ、マツダスタジアムで一番多く見かけたのがアドゥワかもしれない。来る日も来る日もランニング、キャッチボールなどひたむきに練習を行っていた。その姿には悲壮感すら漂って見えた。
「投げられるときは投げてました。去年まではケガ人だったのでこの時期は投げられなかったですけど、今年はずっと投げてました。常にキャッチボールをしていました」
投げられる喜びがある。20年10月に右肘関節鏡視下骨軟骨掻破(そうは)、骨棘(こつきょく)切除の手術を受けた。21年は1、2軍とも登板なし、昨季は2軍で20試合投げられるまでに回復した。プロ2年目の18年にはリリーフとして1年間、ブルペンを支えた一人となった。53試合で6勝2敗5ホールド、防御率3・74。若さを前面に押し出し投げまくった。19年は先発に転向。プロ初完投勝利など3勝を挙げた。196センチの長身右腕は将来を嘱望されていたが、ケガが行く手を阻んだ。
「自分のケア不足と技術不足ですから。悔しくないと言えばウソになりますけどケガしたことを考えても仕方がないので取り返すだけかなと思います」
振り返ってみれば経験不足が故障の原因だったと思える。
「ケガは一番もったいないなと思いました。正直、ケアとかも全然していませんでしたし、若くて、右も左も分からない状態で投げていたので」
つらい時間を過ごしたからこそ、得たものもある。ひたむきに取り組むこともその一つ。昨年のみやざきフェニックスリーグでは力強いボールが戻ってきた。
キャンプは2軍スタートが決まった。新井監督は積極的な1、2軍の入れ替えを明言している。
「アピールする立場なんで、結果を求めていきたいと思います」
今季の目標を問われると「とりあえず1軍で投げることだけを考えてやろうと思います。何試合とか場所とかないです。チームに貢献することだけを目指します」と言った。再びあの大歓声の下で投げること。それだけを目指して投げ抜く。(達野淳司)
アドゥワ誠(あどぅわ・まこと)1998年10月2日生まれ、24歳。熊本県出身。右投げ右打ち。投手。196センチ、90キロ。松山聖陵3年夏に甲子園出場。16年度ドラフト5位で広島に入団。プロ2年目の18年5月30日・西武戦(マツダ)でプロ初勝利。同年4月26日・DeNA戦(横浜)では19歳6カ月で球団最年少ホールドを記録した。通算72試合9勝7敗5ホールド、防御率4・08。