カープ中村奨成 上本先輩との合同自主トレ「人との接し方だったり改めて勉強に」
広島の中村奨成捕手(23)が原点回帰で1軍昇格を目指している。現在はプロ初本塁打を放った21年の打撃フォームに戻すことで球を捉える確率アップを図る。勝負の1年となる6年目。持ち味の長打力をアピールする。
広い由宇球場のスタンドへ何本もの放物線を描いた。中村奨は自主トレの成果を示すように鋭い打球を放ち続けた。勝負の1年。強い危機感を胸に今春に臨んでいる。
「1月、崇司さん(上本)との合同自主トレで、とにかく量は振れた。どうやったら1軍で結果を出せるかを考えてキャンプを過ごしていきたい」
6年目を前に、広陵の先輩でもある上本と福山市内で合同自主トレした。「練習に取り組む姿勢が勉強になったし、野球以外の面でも人との接し方だったり改めて勉強になった」と感謝し、全体練習が終わっても毎日2時間以上、黙々とバットを振った。故障を危惧し上本がストップをかけたほど熱を帯びていた。
上本の一言がきっかけで原点回帰した。
「マツダでバックスクリーンへ打ったときのようにした方がいいんじゃないかと言われたんです」
21年7月7日のDeNA戦で放った本拠地初アーチは衝撃的だった。自身もグングン伸びた打球に大きな手応えを感じ取っていた。昨季すくい上げるようにしていたスイングを、上からたたき下ろすような形に戻した。捉える確率が上がり飛距離も伸びた。
広陵の先輩でもある新井良2軍打撃コーチが今季から加わった。打力に磨きをかけるため、キャンプ初日から指導を受けている。2日には左肩の開きを抑えるための体の動かし方について助言を受けた。
同コーチは「(打つときに)回転運動はしっかりしないとダメだと思うので、その仕方というか。こういう方法もあるよ、って伝えました」と説明。若鯉が持つ潜在能力の高さには「飛ばせる能力は高い。きっかけになるような言葉であったりアドバイスができたら」と力を込めた。
2軍は7日から日南でキャンプを張る。新井監督は頻繁に1、2軍を入れ替えると話しており、アピールするチャンスだ。中村奨は「まずはできることをしっかりやっていきたい」と意気込む。1軍昇格へ、思いをバットに込める。
◆中村 奨成(なかむら・しょうせい)1999年6月6日生まれ、23歳。広島県廿日市市出身。身長181センチ、体重81キロ。捕手。右投げ右打ち。小学1年から野球を始めた。広陵に進学し1年春から名門の正捕手となる。3年夏の甲子園では1大会個人最多の6本塁打を記録をした。17年度ドラフト1位で広島に入団。