【岡義朗氏の眼】広島・坂倉のブランク心配 足攻どう対処するか 直球中心の配球注意 内外野は守備力高い
デイリースポーツ評論家・岡義朗氏(69)による広島キャンプチェック。今回は守備編。捕手専任となった坂倉、三塁を任されるであろう新外国人デビッドソンが加わった内野陣など、広島、阪神、オリックスなどで長年コーチを務めてきた経験から、今季のカープの守備陣が優勝を狙える布陣になるかどうかを見てもらった。
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キャンプの守備練習を見ると、明るくて、ファイトのある元気ハツラツなプレーが目立った。カープらしさというのが随所に見られた。
では守備力はどうか。内野の要、二遊間は菊池、小園になるだろう。菊池は言うまでもないが、12球団トップクラスの守備力だ。捕球体勢はいつ見ても基本に忠実な形ができている。今季も盤石だろう。コンビを組む小園も年々、着実に伸びてきている。
一、三塁はマクブルーム、デビッドソンの外国人になると思われる。デビッドソンはスローイング、ハンドリングともに柔らかく問題はない。マクブルームも昨年以上の動きの良さが目立つ。内野陣はある程度、高いレベルにあるといえる。
外野は左翼・西川、中堅・秋山、右翼・野間が予想される。こちらは足もあるし、肩も十分。実績のある選手がそろったことで安定感があり、申し分ない。こうしてみると内外野ともに守備力は高く、十分に上位を狙える布陣になったといえる。
あとは専任となった坂倉が中心になると予想される捕手。坂倉には配球などのリード面、盗塁阻止など多くのことが要求される。
リードは経験。日々勉強してもらうしかない。盗塁阻止については昨年まで三塁が中心であったようにブランクが心配される。恐らく他球団は、隙と見て足を使った攻撃で攻めてくると思う。これにどう対処するかだ。
練習を見ていると、石原バッテリーコーチが付きっきりでキャッチボールから回転のいいボールを投げられるように取り組んでいた。盗塁阻止には肩の強さよりも、素早く正確なスローイングが要求される。取り組んでいることを継続しながら投手の協力も必要だ。野村謙二郎監督のころには投手陣に対してクイックを徹底していた。企図数自体を減らせればそれだけで大きい。
足攻への警戒から、直球中心の配球にならないように注意しなければならない。かつてこんな話があった。達川光男が晩年、肩の衰えを指摘されたころだ。走者が自動スタートを切るような場面では走者、打者どちらも警戒するのではなく、割り切って打者を攻略することに力を注いでいた。経験があるからこそできることではあるが、こういった割り切りも必要だろう。
最初は苦労すると思うが、新井監督からは“覚悟”を感じた。坂倉には他球団の捕手にはない打力という強力な武器がある。グラウンドの中で必ず必要な選手であることは間違いない。チームには会沢という経験豊富な捕手もおり“抑え捕手”という起用も可能。いまの明るさを忘れずにシーズンも総力で臨めば、十分に戦えるチームだと見る。