初勝利の広島・新井監督 「僕の好きな“その日暮らし”という言葉を贈る」 盟友の長男に授けた座右の銘の意味
「広島3-0阪神」(6日、マツダスタジアム)
開幕4連敗中だった広島が、六回途中降雨コールドで待望の今季初勝利を挙げた。新井貴浩監督(46)はうれしい監督初白星。初回に秋山翔吾外野手(34)が先制適時打、四回はマット・デビッドソン内野手(32)が2号2ランを放った。開幕からの連敗を止め、マツダスタジアム通算500勝も達成。“メモリアル星”を契機にここから巻き返す。
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チームを“家族”と表現してきた新井監督。その思いは身近な人に対しても同じだ。主将だった広島工時代、当時の副主将・小玉真寛さん(46)とは今でも親交がある。小玉さんの長男・登志郎くんは高校時代、広島商でレギュラー。だが3年時、夏の甲子園はコロナ禍で中止となり、代替大会になった。広島商は県大会優勝。それを小玉さんから伝え聞いた指揮官は「お祝いしよう」と呼びかけた。
自ら設けた慰労会。目標を失いかけた中、懸命に戦った姿に拍手を送りたかった。登志郎くんは現在、大学野球に励んでいる。昨年末、同級生との食事会に新井監督が参加した際には「登志郎、呼んでよ」と小玉さんにリクエスト。そして合流した本人に座右の銘を授けた。
「僕の好きな“その日暮らし”という言葉を贈る。ネガティブなイメージがあるけど、そうじゃない。あしたに力を残さない。きょう全部出し切って、終わる。それが僕の言う、“その日暮らし”」
歯を食いしばり、毎日余力を残さず生きてきた。だから、ドラフト6位からはい上がれた。「練習した者だけが、得られることがある。得られないこともある。でもやらないと何も起こらない。とにかくやり尽くせ」。あすなき戦いに身を置く新指揮官。完全燃焼の先にある笑顔を、一日でも多く見届けたい。