秋山 移籍後初サヨナラ弾 35歳誕生日の“前祝い”だ マツダ6連勝で広島2位タイ浮上
「広島5-4ヤクルト」(15日、マツダスタジアム)
広島が劇的なサヨナラ勝ちで2位タイに浮上した。1点を追った九回2死一塁から、秋山翔吾外野手(34)が今季1号となるサヨナラ2ラン。16日が誕生日の男が、34歳最後の日に輝いた。秋山のサヨナラ弾は西武時代の2012年以来、2本目。新井政権初のサヨナラ勝利で2019年(7連勝)以来の本拠地6連勝となり、雨の中でも声援を送り続けてくれたファンに、最高の形で応えた。
そのまま入ってくれ-。スタンドの期待は、すぐさま歓喜に変わる。球場全体が震え、興奮の輪が広がった。野球は九回2死から。秋山はヘルメットを投げ、仲間の待つホームベースに勢い良く飛び込んだ。「ちょっと、年がいもなく喜び過ぎてしまいました。それぐらいうれしい一本だったと思います」。広島移籍後初のサヨナラ弾。雨の中、声援をくれたファンに最高のフィナーレを用意した。
閉ざされかけた扉を、こじ開けた。1点を追った九回、2死から代打・堂林が四球で出塁。「2死からでも、堂林がしっかり(四球を)選んでくれた。僕で終わるわけにはいかないなと。しっかり振り抜けた」と、田口の初球スライダーを左翼席へ突き刺した。
ヒーローインタビューでは西川、坂倉から大量の水を浴びる、チーム恒例の祝福も受けた。この日が34歳最後の試合。最高の“前祝い”に「みんなが笑顔で、ホームで迎えてくれた景色というのは思い出すかな」と、生涯忘れることのない光景を目に焼き付けた。
今カードが始まる前の13日、秋山は人一倍、気合を入れていた。ヤクルトには開幕カードで3連敗。「けっこう(力が)試されるカード。普段通りやるんだけど(ビジターで)やられた分を、ホームでやり返さないと。組む前から『嫌だな』というのはありがちなので」と語っていた。
一筋縄ではいかない相手だからこそ燃える。「相手がどんな状況とかは関係なく、自分たちが勝つことで苦手意識や嫌な感じを払っていかないといけない」。14日は1点を先制した直後の六回1死一、三塁で二ゴロ併殺。「きょうは何とかしたろう、という思いで球場に来た」と熱い気持ちで勝利を導いた。
新井監督にとって初のサヨナラ勝ち。劇的な一発を「ちょっと覚えてないんだけど。打った瞬間、『いけ!いけ!』って思った。いや、すごかったね。素晴らしいバッティングでしたね」と称賛。これで本拠地6連勝で、2位タイに浮上だ。
凡打でも常に全力疾走を貫き、劣勢時こそ声を出す大切さを体現する秋山。「あしたからまた、新しい35歳という年をいい一年間にしたい」。最後まであきらめない。35歳になっても、勝利の瞬間まで全力で駆け抜ける。
◆秋山が3874日ぶりサヨナラ弾 NPBでの秋山のサヨナラ本塁打は自身2本目。西武時代の2012年9月5日・ソフトバンク戦以来、3874日ぶりだった。また広島1年目の22年は8月6日・阪神戦でサヨナラ安打を記録。
◆マツダ6連勝! 広島のマツダスタジアム6連勝は7連勝を記録した2019年7月19日・巨人戦~8月2日・阪神戦以来。この年は他に5月11日・DeNA戦~6月1日・阪神戦=7連勝、4月19日・DeNA戦~5月5日・巨人戦=8連勝&1分けも記録。なお最長は12連勝で16年8月11日・阪神戦~9月16日・中日戦で記録。