松山V撃で新井カープ甲子園初勝利 九回マウンドで栗林にゲキ「おまえで打たれたら本望」
「阪神5-7広島」(20日、甲子園球場)
ベテランのバットで連敗を2で止めた。広島・松山竜平外野手(37)が2点を追う四回1死満塁で、代打で逆転の3点適時二塁打。九回は守護神・栗林良吏投手(26)が一発を許すとサヨナラ負けとなるピンチを招くと、新井貴浩監督(46)が就任後初めてマウンドに向かってゲキを飛ばした。右腕は奮起して後続を断ち、指揮官に甲子園初勝利を届けた。
甲子園に響かせた快音が勝利をもたらした。松山は二塁塁上で右拳を突き上げる。一振りでやってのけた大仕事。“代打の神様”と呼ぶにふさわしい、会心の一打だ。
「何とか連敗を止めたかった。本当に良いところで打てたと思う」
2-4の四回1死満塁で出番が来た。西純の3球目。真ん中直球を捉えると、打球は中堅フェンスを直撃。走者一掃の逆転3点適時二塁打だ。これで通算500打点を達成し、501打点とした。
初回に2点を先制しながらすぐさまひっくり返された。「流れが悪かった」。中盤にさしかかりつくった得点機で声がかかった。試合の分岐点。深呼吸して集中力を高め、持てる力を発揮した。
今季は勝負強さが光る。出場5試合全て代打で5打数3安打、打率・600で3打点。「いつでもいけるように準備はしていた」。スタメン出場を目指しながらも、今与えられている仕事場でしっかりと貢献している。
チーム最年長の37歳は、休日を返上して球場を訪れる。オフには飽くなき向上心からバットを寝かせて構えるフォームの再習得にも励んだ。
その姿は新井監督の背中を追うようにも見える。指揮官は現役時代、41歳まで現役を続け、光を放ち続けた。「目指すところなので僕もそういうふうになれたらいい」。チーム屈指の打力で勝利に貢献していく。
新井監督にとっては、甲子園での初勝利。自ら勝利への執念を示した。1点を奪われ7-5となった九回無死一、二塁。マウンドに初めて直接足を運び、栗林の背中を押した。
守護神は18日・阪神戦で九回に逆転サヨナラ負けを許していた。新井監督は右腕に「おまえで打たれたら本望。思い切って投げろとだけ言った」。一丸でつかみ取った大きな白星に「野手も頑張った、ブルペンも。まさにチーム一丸となった勝ちだった」とたくましい選手をたたえた。
チームは敵地での同一カード3連戦3連敗を阻止した。松山は「すごく良い雰囲気で一体感があって、良い流れが来ている」とチームの声を代弁した。敵地での1勝で、再び新井カープは波に乗る。