広島 森下の笑顔はじけた284日ぶり勝利 鬼門の交流戦へ意気込み「スタートはマツダだと思う」
「広島4-1ヤクルト」(27日、マツダスタジアム)
広島の森下暢仁投手(25)が7回3安打無失点、9三振を奪う力投で今季初勝利を手にした。白星は22年8月16日の中日戦(マツダ)以来、284日ぶりだ。尻上がりに調子を上げ三回途中からは14人連続でアウトを奪った。昨秋に右肘のクリーニング手術を受け、登板4試合目でつかみ取った復活星。チームも今カードの勝ち越しを決め、再び貯金を1とし、巨人に代わって3位に浮上した。
最高の笑顔がはじけた。久しぶりに味わう勝利の瞬間だ。森下は喜びをかみしめ一人一人とタッチを交わした。7回3安打9奪三振無失点。「勝ててうれしい」。尻上がりに調子を上げてつかみ取った今季初白星だ。
初回1死満塁のピンチを無失点で切り抜けると、二回以降はフォームを微調整。「突っ込んでいた部分があったので修正した」。右足により体重を乗せて投げたことで安定感が生まれた。
三回1死で山崎に左前打を許した後は交代した七回まで無安打。打者14人を完ぺきに封じた。六回2死での村上との対戦では150キロの直球で空振り三振に仕留めた。力強い直球が復活の証だ。
昨秋に受けた右肘のクリーニング手術から復帰した今季。白星がつかなかった過去3試合もクオリティースタート(先発し6回自責点3以下)を達成していた。新井監督はこの日の投球を「素晴らしいピッチング」とたたえた上で、さらなる期待を口にした。
「ただ彼が持っているものを考えると、もう一段階(上が)あると思うので、すごく楽しみです。そこはまた暖かくなってきたら出るのかなと」
投手陣の中心として力強くチームをけん引してほしいと願った。
ファンの声援を力に変えたマウンドでもあった。新型コロナウイルス禍の2020年に入団した右腕にとって、本拠地マツダで声出し応援を受けて腕を振るのはこの日が初めてだった。「キャッチボールをしているときからの応援だったり、やっぱり雰囲気は違うなという感じで投げられた」。球場全体を包んだ拍手や温かい声に勇気をもらった。
次回登板は交流戦。6月2~4日のソフトバンク戦(マツダ)が濃厚だ。交流戦は昨季、3試合で3敗するなど、過去5試合で0勝4敗と勝利がない。チームにとってもパ・リーグ球団との戦いは鬼門。今季こそ勝利をつかむ意気込みだ。
「勝てていないし、ここが一番大事なところになる。自分のスタートはマツダだと思うのでまた勝てたらいいなと思う」。22年8月16日の中日戦以来、284日ぶりの勝利を新たな力に変え、森下が再び全力で腕を振る。