新井マジック炸裂?広島が“日替わり4番”で6連勝 首位阪神とゲーム差なし 岡義朗氏の見解
「広島東洋カープ5-3中日ドラゴンズ」(22日、マツダスタジアム)
広島が接戦の末、中日を破り6連勝。首位阪神にゲーム差「0」に肉薄した。4番に小兵上本を抜擢する“ギャンブル”が大成功。デイリースポーツ評論家・岡義朗氏(69)は「失敗を恐れずにプレーできているのは、ベンチが選手を精神的に後押ししているからだろう」と語った。
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小柄な上本が4番に入った打順は、ファンにとって驚きだったかもしれない。何しろプロ初だから。しかし、迫力不足は否めないものの、点を取ることにおいては十分機能していたね。新井監督が組んだ打線が、見事にハマった感じだった。
(この試合のオーダーは1番田中、2番野間、3番秋山、4番上本、5番小園、6番デビッドソン、7番会沢、8番大盛、9番森下)
そもそも4番打者に苦しんでいる広島ではあるが、頼りにしていた西川が脇腹を痛めて離脱。マクブルームは極度の不振で、デビッドソンは三振が多くてこの打順を任せるのはちょっと厳しい。打線を分断してしまう危険があるからね。
坂倉は捕手に専念させると言い切った以上、この試合のように森下の相手を会沢が務める場合など、ベンチスタートとせざるを得ない。新井監督はこの先もこの考えを曲げないでしょう。
だからこのところ松山や菊池を4番に据えるなどして、打順編成にはかなり腐心しているが、ついに上本までも。ただ、この発想は決して不自然なものではない。菊池にしても上本にしても“脚力”があるからだ。
1、4、7番に足の速い選手を入れると打線が機能するという考えがある。この試合は上本、小園の4、5番の後ろにデビッドソン、会沢を置き“下位のクリーンアップ”のような形を作って点を取りに行った。この打順編成は朝山コーチからの進言だと思うが、いいアイデアだった。
(広島は二回、小園の安打とデビッドソンの四球で得た二死二、三塁のチャンスに大盛が左前へ逆転の2点打。七回は1点を勝ち越したあとも上本が好機を拡大する左前打。その後、デビッドソンの中前打で2点を加え試合を決めた)
この日は上本が2安打と1盗塁。つなぎ役に徹する活躍で、結果的にデビッドソンも生かす働きだった。
今年のカープは非常にいい雰囲気で野球ができている。失敗を恐れずプレーするというのは、チーム盗塁数の多さにも現れていると思う。
この思い切りの良さはどこからくるのか。たとえ4番に座っても“いつもの自分の仕事をすればいい”というベンチの精神的な後押しがあるからだろう。今は全員野球でチームに勢いがあるね。