広島・堂林 9年ぶり2打席連発 奇跡諦めない3連勝 夏男8月打率・357、5本塁打、12打点、天敵・今永粉砕
「横浜DeNAベイスターズ0-5広島東洋カープ」(22日、横浜スタジアム)
広島・堂林翔太内野手(32)が、9年ぶりとなる2打席連続本塁打で勝利の立役者となった。初回に8号2ラン、四回には9号ソロと天敵・今永から2本のアーチを記録。チームは2分けを挟んで続いていたビジターゲームでの連敗を7で止め、3連勝を飾った。
無駄のないスイングから放たれた打球が、横浜の夜空に弧を描く。堂林が右に左に2打席連続弾。難敵左腕を攻略し、勝利への道筋を明るく照らした。
幕開けは初回だ。2点を先制してなおも2死一塁で、今永の外角146キロを捉えた。打球は右中間スタンド最前列に着弾する2試合連続の8号2ラン。「いい方向に打てたかな」と持ち味の逆方向への本塁打で、今永の出はなをくじいた。
続く四回は先頭で今度は左越えへ9号ソロを突き刺した。初球から5球続いた内角球を仕留めた一撃。体をクルリと回転させて運んだ一発は、2014年9月13日・阪神戦(甲子園)以来9年ぶりの2打席連続弾。相手エースを沈めた。
チームは今季、試合前時点で今永と3度対戦し、防御率0・44と封じられていた。堂林自身は通算で19打数1安打9三振と苦戦していた。だからこそ「中途半端にいかないように」と思い切りの良さが奏功。これで今月5本目の本塁打となり、今月の月間打率も・357まで上昇させてきた。秋山、上本が戦列を離れている中、32歳の躍動が打線に活気を与えている。
連日、熱戦が繰り広げられている夏の甲子園もチェック。自身は14年前の09年、中京大中京のエース兼4番打者として日本一の栄冠をつかんだ。「思い出すことはありますが、思い出したくもない部分もあります」と笑顔で当時を振り返る。
日本文理との決勝戦では先発し、最終回に再登板。だが相手の猛烈な反撃を止められず、降板を余儀なくされた。球場全体が異様な空気に包まれたが、最後は1点差で勝利。聖地で学んだことは「『試合は最後まで分からない』ということですかね」。自虐的に笑うが、本音かもしれない。そして「(暑いので)体には気を付けてほしい」と今年の決勝戦を戦う両校の球児たちの背中を押した。
2発の働きに新井監督は「元々、彼は素晴らしい能力を持っているし、今の姿に驚きはないよね。ただ、やっぱりすごいなと。素晴らしい」と絶賛した。「勝つしかないので」と堂林。あの夏と変わらぬ姿勢で、ひたむきに勝利だけを求める。
◆9年ぶり2打席連発! 堂林の1試合2打席連発は2014年9月13日・阪神戦以来、9年ぶり。また1試合2本塁打は今季初で22年8月16日・中日戦以来。2試合連続本塁打は20年8月19&20日のDeNA戦以来。