広島・坂倉 今季5度目サヨナラ勝ち「何でも良い1点、入れ」 攻守で奮闘の要に新井監督「自信持ってますよ、彼も」

 9回、右犠飛を放つ坂倉
 サヨナラ打を放ち矢野と抱き合って喜ぶ坂倉(撮影・田中太一)
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 「広島東洋カープ4-3東京ヤクルトスワローズ」(25日、マツダスタジアム)

 広島が今季5度目のサヨナラ勝ちで、ファンの期待に応えた。同点の九回無死満塁で、坂倉将吾捕手(25)が右犠飛を放って決着。これで今季マツダスタジアムでのヤクルト戦は、無敗の10連勝となった。前日に連勝が4でストップしていた中、3連戦初戦を劇的な勝利で終えて貯金は12。首位・阪神追撃を諦めることなく、地元で再スタートの一歩を踏み出した。

 右手を夜空に突き上げた。満員の観客が歓喜する中、坂倉は矢野と抱き合い感情を爆発させる。もみくちゃにされても最高の笑顔だ。決めた。今季5度目のサヨナラ勝利を導く右犠飛だ。

 「最高です。満塁だったので、何でも良いから1点、入れと思って打席に入っていた。良かったです」

 3-3の九回無死満塁で出番が来た。カウント2-2からの6球目。はじき返したのはボールゾーンのフォークだった。

 「チャンスはピンチなので、あれがゴロになっていたら、2アウトになってしまう。いろんな気持ちはありましたけど、割り切って、かえすことだけを考えていました」

 相手の2失策が絡んでの好機。真っ赤な球場を含め、サヨナラへの機運は最高潮だった。大きな重圧があったが、それをはね返した値千金の一振りだ。

 守備でもチームをもり立てた。森は七回途中まで3失点。大道、島内、栗林も粘り強くリードした。九回2死一塁では、二盗を試みた丸山和を鋭い送球でタッチアウト。ヤクルトの流れを断ち切るとともに、サヨナラムードを盛り上げた。雰囲気を一つにするビッグプレーだった。

 流れを変えた二塁送球。新井監督は「良いボールがいったよね。自信を持ってますよ、彼も。走れるんだったら走ってみろよ、と。自信が感じられますよ、と石原コーチが言っていました」と冗談を交えながら振り返り、白い歯をこぼした。今季捕手に専念し、コツコツと積み重ねる努力で成長階段を上る。その姿が頼もしい。

 劇勝で今季マツダスタジアムでのヤクルト戦は無敗。破竹の10連勝だ。首位阪神とは7・5差ながら、その背中を諦めずに追いかけていく。サヨナラの1点は無安打で奪ったもの。全員が見せた勝利への執念が結実したとも言える。

 坂倉は「小園にしても矢野にしても一生懸命走って、次の塁をと、やっている。何とかという思いでやっているので、それに感化されて、続けてよかった」と力を込めた。ペナント終盤。一丸で歓喜を目指す。

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