新井カープ 執念逆転星で連敗ストップも終戦 指揮官「まだ阪神との戦いは残っている。CSもある」

 8回、逆転のホームを踏んだ矢野(左)を迎える新井監督
 8回、磯村の逆転2点適時打で盛り上がる広島ナイン(撮影・伊藤笙子)
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 「東京ヤクルトスワローズ5-6広島東洋カープ」(14日、神宮球場)

 新井カープのリーグ優勝の可能性が完全消滅した。首位・阪神の優勝が決定。チームは神宮での今季最終戦を逆転で勝利し、連敗を6で止めたが、今年も覇権奪回はならず、5年連続のV逸となった。夏場に首位争いを繰り広げたものの、終盤戦で失速した。3位・DeNAとは3ゲーム差。残り11試合も全力を尽くし、CSで阪神へのリベンジを目指す。

 苦しめられた舞台で赤ヘルが最後に意地を見せた。今季、何度も発揮した真骨頂の粘り。終盤の逆転勝ちに神宮のファンが沸き上がるも、今年もまたV奪回はならず“終戦”を迎えた。新井監督は表情を変えることなく「まだ阪神との戦いは残っている。CSもある。まだまだ先がある」と決して後ろを振り返ることをしなかった。

 劣勢をはね返す姿が敵地のファンの胸を焦がした。3点を追う八回だ。無死一、三塁で小園が左前適時打を放ち1点を返した。さらに満塁と攻め立てて、代打・松山が押し出し四球を選んで1点差。場内の雰囲気が高まったところで代打・磯村が中前へ逆転の2点適時打。三塁側、左翼スタンドのファンから大歓声が注がれた。

 指揮官は終盤の逆転劇に「イソ(磯村)も久しぶりに出て、よく打ってくれた。その前の打者たちも(四球を)選んでつないでくれた」と攻撃陣を評価。2番手・アンダーソンからリリーフ陣は得点を与えず「中継ぎが踏ん張ってくれていたので、逆転につながったと思います」と投手陣もねぎらった。

 開幕前の周囲の下馬評を覆し、コンスタントに白星を重ねながら虎の背中を追いかけてきた。8月7日時点で首位とは2・5ゲーム差。しかし、8日からのヤクルト、中日との敵地6連戦を5敗1分けで終え、ゲーム差は「8」に広がった。

 前半戦終盤の7月12日に西川が右脇腹肉離れのため離脱。8月12日には右ふくらはぎを痛めた秋山が出場選手登録を抹消された。主力選手不在という穴をチーム全員で懸命に埋めて、各自が必死にグラウンドに立ち続けてきた。現在も西川、菊池、上本を欠く状況。それでも一戦必勝を誓って戦ってきたが、相手が上回った。

 チームとしては5年連続のV逸。だが、試合はまだ続く。「自分たちは、また次の目標に向かって、みんなで頑張っていきたいと思います」と次なる戦いを見据えた指揮官。試合後、左翼スタンドの前で整列したナインにファンは惜しみなく拍手を注いだ。これまで通りの全員野球で、カープの誇りをかけて最後まで戦い抜く。

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