広島とDeNAの勝敗を分けた三盗に両軍指揮官は?新井監督「彼がすごく成長したスタート」三浦監督「自分の責任」
「JERA CSセ・ファーストS・第1戦、広島東洋カープ3-2横浜DeNAベイスターズ」(14日、マツダスタジアム)
両軍指揮官が勝敗を分けたポイントに挙げたのは八回だった。1点を追う広島は1死二塁から代走・羽月が三盗。DeNAは完全ノーマークで、捕手もスローイングできないほど、完璧なスチールを決められた。
直後に菊池のスクイズが成功し、ノーヒットで試合を振り出しに戻した広島。矢野に犠打を命じて得点圏に進み、打席には1番の菊池と、三塁へスタートを切る以上、絶対に失敗は許されないシチュエーションだった。事前のデータ、東のクセ、DeNA内野陣の動き、それらを完璧に把握した上でのスタート。新井監督は試合後、こう羽月をたたえた。
「羽月が一発目からね。すごい勇気がいると思うんですけれども、本当によくスタートを切ってくれた。彼がすごく成長してくれたスタートだったと思いますね」
シーズン中から目立った新井監督の勝負のタクト。8月、阪神との直接対決ではビハインドの展開ながら勝ちパターンの投手をつぎ込み、チームにあきらめない姿勢を植え付けた。そしてこの日も「井としたこと、役割を分かった上で各自がやってくれた。攻撃もそうですけど、すごく成長を感じたゲームだった」と振り返った指揮官。勝利へ導く完璧なスチールとなった一方、悔しさをにじませたのはDeNA・三浦監督だ。
「もっともっとベンチが。自分からもケアさせられなかった自分の責任だと思います」
送りバントで二塁に進んだ直後、内野陣が二塁走者をケアするしぐさはあまり見られなかった。東が「警戒していなかったわけではないが、僕と祐大の甘さが出た」と明かしたように、スッと打者との勝負へ入ってしまった。打順が上位へと続いていく状況だけに、スチールの可能性は低いと踏んでいたのかもしれない。
そのわずかな隙を突かれての同点劇。三浦監督は再度、「自分の責任」と悔しさをにじませた。ベンチから声をかけていれば、状況は違った展開になっていたかもしれない。
試合を振り出しに戻した広島は、延長十一回に秋山の中越えサヨナラ打で初戦を取った。一方でDeNAはファーストS突破へ引き分けすら許されない崖っぷちの状況となった。一手が分けた明暗。第2戦へ三浦監督は「もう勝つしかないので」と前を向いた。