安仁屋氏が新井カープ1年目を総括「監督を男にしようと一つに」「来季は笑顔と厳しさ両立でタフに」
広島はCSファイナルステージを3連敗し、ここで新井カープ1年目の、今季の戦いを終えた。それでもシーズン前の下位予想を大きく覆す2位と“躍進”した。デイリースポーツ評論家・安仁屋宗八氏(79)が、ファンを楽しませてくれた新井監督の野球、同時に見えてきた頂点への課題を総括する。
◇ ◇
新井監督はグラウンドでもいつもニコニコと笑顔で選手たちとコミュニケーションを図った。その姿勢はシーズンを通じて一貫していたよね。
これに対して、若手もベテランも、その監督を男にしようと一つになった。
各選手を見渡しても、個人個人はスーパースター級じゃない。当然、ミスが出たりもするんだけど、そこを怒るのではなく、取り返すチャンスを与えたことで選手にもやり甲斐が生まれる。
その結果が、2位という順位になって表れたんじゃないかな。誰もが気分よくプレーできたという意味でも、いいシーズンになったと思う。
一方で、CSファイナルステージでは阪神に歯が立たなかった。チャンスを作っても、得点に結びつかない。そのあたりは、攻撃の質を高める、勝負強い外国人選手を獲得するなど、解消していくべきポイントとして目についた。
阪神でいえば、岡田監督の采配に応え、守り勝つ野球が実を結んだ。投手、野手が厳しい局面で力を出した印象だ。
来季はそこを破って頂点に立たなくてはいけない。そうなると、阪神以上に選手にはタフさが求められる。
主力の故障も多かったがその理由は練習不足と感じる。首脳陣も甘やかすことなく厳しい練習を課すことでしか、そこは乗り越えられない。鍛えれば、故障しづらくなる。
投手であれば投げ込み、走り込み。野手も走って、スイングの量も大幅に増やす。秋、そして春のキャンプではそういう姿を見たい。笑顔のコミュニケーションと、厳しさの両立ができた時、優勝に大きく近づけるはずだ。