カープ・藤井 現役続行目指す 育成2年&支配下で4年「いい時間になった」戦力外通告、育成契約打診
広島・藤井黎来投手(24)が戦力外通告を受けた。本人は現役続行を希望。球団からは育成選手としての契約を打診されており、トライアウト受験も含め検討していく。2020年シーズンに育成から支配下選手登録をつかんだ右腕だったが、今季は1軍登板がなかった。
涙を浮かべることなく、藤井は現実を潔く受け止めた。10月31日に球団から来季の契約を結ばない旨を通告され「今年1年間1軍に上がれてなくて、自分でもうすうすは気付いていた。そこまで落ち込んでいないというか、普通に切り替えられるかなと思います」と心境を明かした。
今季は2軍で25試合に登板し1勝2敗、防御率3・96。1軍登板機会は一度も訪れなかった。「(シーズン)後半になって球速もアップもした。そこは良かったけど、コントロールが良くなかった。やっぱり“自滅”というのが多かったので、そこは今後の課題でもある」。2軍では25イニングで17四球だったように制球力向上を実現できなかったことを悔やんだ。
秋田・大曲工から2017年度育成ドラフト2位で入団。結果を残して20年9月に支配下選手登録を勝ち取った。昨年は自己最多の12試合に登板したが、1軍定着はならなかった。「もう少し1軍でチームのために貢献できればと思っていたけど、1軍に上がれない期間が多過ぎて、本当に申し訳ない気持ちしかない」
思い出に残る登板を問われると、抑えた試合ではなく打たれた試合を挙げた。22年8月3日・DeNA戦(横浜)。同点の延長十一回に登板したが、満塁のピンチを迎えて最後は宮崎にサヨナラ打を許した。「頭の中にすごく残っています」とプロ初黒星を喫した一戦を振り返った。
カープの一員として過ごした6年間。仲間と汗を流しながら、勝利を目指した時間はかけがえのない財産だ。「皆さん優しい先輩で、同級生もみんないい人。後輩たちもかわいくて、本当に、とてもいい時間になったと思っている」と感慨深く語った。
球団からは育成契約を打診され、トライアウトの受験も含めて考えていくという。「野球は続けたいと思っているので、練習はしっかりしていきたい」。藤井らしく柔和な表情で、前を向いていた。
◇藤井 黎来(ふじい・れいら)1999年9月17日生まれ、24歳。投手。右投げ右打ち。身長182センチ、体重90キロ。小学2年で野球を始める。大曲工では1年秋からベンチ入りし、2年夏の甲子園に出場した。3年夏の秋田大会3回戦の大曲農戦で無安打無得点試合を達成。17年度育成ドラフト2位で広島に入団し、20年9月26日に支配下選手登録。プロ通算では20試合で0勝1敗、防御率6・35。