カープ秋季キャンプは大成功 結果に一喜一憂せず、目標・課題をしっかり理解 安仁屋氏が高評価
広島の秋季キャンプが21日に打ち上げとなった。今季2位と躍進した新井カープが来季、覇権に挑戦するための重要な、若手選手鍛錬の場。この模様について、デイリースポーツ評論家・安仁屋宗八氏(79)が高く評価。期待の選手にも触れつつ、来季へ向けた好スタートを振り返った。
◇ ◇
全体の印象としては、非常に爽やかさが出ていた、いい雰囲気の中でのキャンプとなっていたね。
ちょっとしたことで首脳陣が怒るようなこともなく、むしろ選手を乗せていく感じで伸び伸びとやれていた。これは新井監督によるムード作りの巧みさがあるんじゃないかと感じた。
特に今回のキャンプでは紅白戦など実戦を多く取り入れていたから、選手の思い切ったプレーを引き出すという意味でも、こうした雰囲気は有意義だったはずですよ。
というのも、普段あまりチャンスをもらえない選手が力を出しやすいし、ミスを糾弾されないから試したいことにもいろいろとチャレンジできる。そこで何かできないことがあれば、来年への励みにもなる。また、1軍クラスでもまだまだ成長の余地はある。そのための試行錯誤をキャンプの雰囲気が後押ししていたんじゃないかな。
例えば末包は、紅白戦全部の試合で4番を任されたけど、なかなか思ったように結果を残せなかったでしょう。それでも最後の試合で2安打して、成長の跡を見せることができたよね。
このキャンプでは、打てなくても首脳陣の批判の対象にならない。それをいい勉強と捉えれば、結果に一喜一憂することなく、実戦の中で気づけることは数多くある。その結果が最後の2安打に結びついたと見ますね。
遠藤もそうでしょう。最後の試合で5回2安打無失点。このキャンプで取り組んできたことが、形となって表れた。
逆に最後の試合で5回3失点だった斉藤はどうか。キャンプを通して登板内容は良くなかったと言えますよね。しかし、だからと言って成長していないとか、収穫が少ないかと言えば、逆だと思いますね。
今の、本当の力を試すことができた。その結果、四球から失点したり、反省材料をあぶり出すことができて、ここからの目標、課題というものをしっかり理解できたはず。これも立派な収穫なんですよ。
こうして新井監督はじめ、首脳陣が作ってくれた雰囲気の中で学びが進んだ選手たちの、一番大切なのはここからキャンプまでの期間。次に集合する春のキャンプまでにどれだけ課題を消化するか。必死のオフを過ごした先の楽しみができた。それだけでも今回の秋季キャンプは成功と言えますね。