カープ長谷部 来季1軍へ発想の転換 「打たせない」→「打たせる」意識 今秋からサイドスロー挑戦
広島・長谷部銀次投手(25)が新たなスタイルでの飛躍を目指している。今秋からサイドスローに挑戦しており、オリックス・宮城、田嶋の投球フォームも参考にする。ルーキーイヤーの今季は1軍登板がなかった。「どんどん新しい自分にアップデートして頑張っていきたい」と来季の1軍定着を狙う。
味わった悔しさを力に変え、進むべき道を突き進んでいる。長谷部は今キャンプから、サイドスローに挑戦。「横振りのイメージで、しっくりきている。悪いステップを踏んでいるわけではない。前向きに捉えてやっている」と、うなずいた。
今季は1軍デビューの機会は最後まで訪れず「本当に、やることなすこと、うまくいかなかったシーズン」と唇をかむ。体を縦に振ろうという過度な意識が制球の不安定さにつながり「ストレスなく腕を振る」ことを意図して横から腕を振ろうと決めた。
テークバック時、左手が背中側に入るのが自身の投球フォーム。同じようなテークバックから投げるオリックス・田嶋、宮城の映像にも目を凝らす。「リズム感なども参考になる。躍動感もあるし、ヒントはたくさん隠されている」。自らの投球にも活用できる部分を取り入れ、レベルアップを図っている。
今季2軍では39試合に登板。2勝3敗3セーブで防御率は5・62だった。試合を通じ、相手打者に気持ち良くスイングされてしまっていた反省が残った。そこで“発想の転換”に至った。
今までは全力で腕を振って「打者を抑える、打たせないイメージだった」という。それを「ツーシームやスライダーを(バットに)当てさせる、打たせるスタイル」に変えた。 打たせないのではなく、あえて打たせてゴロアウトなどを増やす投球術。秋季キャンプ中の紅白戦でも、そのスタイルに兆しを感じ取った。「(打者にとって)気持ち悪いというモデルになれば立場を確立できると思う。左打者には三振も取れるようになれば」と理想像を描いている。
今季、チームは9月以降、ブルペンに右投手のみという状況が続いた。左の中継ぎ投手の台頭は、来季を戦う上では欠かせない。「(来季)2年目ですけど僕自身、後がないと思っている。ガツガツ、自分を前面に出してアピールしていくことが大事。1軍で力になれたら」と長谷部。モデルチェンジの先に光があると信じ、来季こそ存在感を発揮する。
◆長谷部銀次(はせべ・ぎんじ)1998年7月29日生まれ、愛知県岡崎市出身の25歳。184センチ、85キロ。左投げ左打ち。投手。岡崎市立竜美丘小学校4年時にソフトボールを始め、竜海中では軟式野球部に所属。中京大中京、慶大、トヨタ自動車を経て2022年度ドラフト6位で広島に入団。母方の先祖に解剖学の「解体新書」で知られる江戸時代の蘭学(らんがく)者、杉田玄白を持つ。