カープ床田の野望とは 理想は27球で「マダックス」「佐々木朗希投手の打席に立ってみたい」

 広島・床田寛樹投手(28)が新春インタビューに応じ、今シーズンの優勝を誓った。昨季チームトップの11勝を挙げた左腕は先発した試合を、球数27球で終える究極の目標にも意欲を示し、100球以内の球数で完投する“マダックス”達成にも闘志を燃やした。エース像、投げ合いたい投手など、たっぷりと語り尽くした。

 -改めて昨季を振り返って。

 「シーズン最初は良かったけど、後半戦はなかなか勝てなかった。特に大事な試合で勝てないことが多く、そこは悔しかったです」

 -その要因は。

 「普段通りに投げていたんですけど、やっぱりシーズン後半になって、相手打者の打ってくる感じが前半とは違っていた。そこに対応し切れなかったかなと」

 -長いシーズン、相手も攻略してくる。プロ3年目の19年も25試合に登板したが、その時と比較して。

 「その時より(相手の攻略を)感じました。3年目の時はほとんど相手にとって自分のデータもなかった。とりあえず自分の球を投げるだけ、という感じ。去年は考えながら投げていて、相手が違う打ち方をしてきた時に『もっと、こうすれば良かったかな』と後から思いました」

 (続けて)

 「後半戦に入ってなかなか勝てなくなった時に、黒田さん(球団アドバイザー)に『何か変えた方がいいですかね?』と聞きました。そしたら『自分から変える必要はない』と。ちょっと揺らいでいた部分もあったので、黒田さんのおかげで『変えなくていいんだ』となりました」

 -例えば序盤に2失点、その後は無失点で7回2失点で負け投手になることも。投手陣の柱となり、その結果ではいけない立場にもなった。

 「今までの僕だったら考えられないぐらい、ぜいたくなことですよ(笑)。7回2失点なんてすごくいい内容。でも去年初めて短期決戦を経験して、やっぱり相手もめちゃくちゃいい投手が投げてくる。2点では負けがちらつくので」

 -好投手ほど先に点を取られない。

 「そうですね。それが一番。やっぱり大事な試合で勝てる投手が、一番いい投手だと思う。そこは目指したい。『アイツで負けたら仕方ない、アイツなら大丈夫』という。それがエースだと思うので」

 -昨季セ・リーグの規定投球回に到達した投手では、三振数が最少の86個だった。三振にこだわりはないと話していたが、究極27球で試合を終わらせたい思いもある?

 「最高じゃないですか!(笑)。27個全部、三振を取るよりもそれが一番いいと思います。三振は、大事なところでしか要らない」

 -ちなみにプロ野球の1試合最少投球数は9回完投だと71球。

 「やっぱり、100球以内で終わる(通称・マダックス)のは理想ですね。プロに入ってまだやったことがない。完封するとなっても120球近くまでいってしまう。できれば100球以内に終わらせたいとは思う。相手との絡みもありますけどね。ちょうど(相手打線が)早打ちで、打球が全部、野手の正面に飛べばポンポンと行けますけど(野手の間を)抜け出したら、なかなか難しいところもある。運もあるかな」

 開幕投手はまだ

 -今季、開幕投手への思いは。

 「まだ、思わないです。昨年1年しか(1年間先発ローテで)できていないので。今年も昨年と同様か、それ以上の成績を残せば、たぶん来年は自信を持って(開幕投手を)やりたいと言えるんじゃないかな。まだ1年だけですから」

 -まだ公式戦で投げ合ってないけど、投げ合いたい他球団の投手は。

 「誰と投げ合ってないかな?(ロッテ)佐々木朗希投手!球場はマツダで。打席に立ってみたいです。自分で打席に立てるのなら投げ合いたい。『うわっ!こんな感じなんや!』みたいな」

 -球種は何を狙う?

 「真っすぐ狙いで(笑い)。とりあえず、味わってみたい」

 -球速、球威だけでなく、目には見えない部分も体感できそうな対戦。

 「何やろ、“圧倒的”って言うんですかね。やっぱり、めちゃくちゃいい投手って、たぶん試合中とかに相手に『きょうは勝てないんじゃないか』って思わせられる投手かなと。パ・リーグに多いイメージがある。それはたぶん三振を多く奪う投手が多いからだと思うんですけどね」

 (続けて)

 「でも日本ハムの加藤さんとか、三振を多く取る投球スタイルではないけど、2年前に投げ合った時に途中から『勝てないんじゃないかな』みたいに思うことが多かった。楽天の田中将大さんとか。結局は勝っているんですけど、試合途中に『きょう、厳しいんじゃないか』と僕が思わされた」

 -そう感じさせるのはアウトの取り方、カウントの組み立てなど全てにおいて。

 「めちゃくちゃ簡単にアウトを取る。なんでこんな簡単にアウトを取れるんだろう?って思いましたね」

 -マウンド上では表情を変えない。それは意識して、やっている?

 「意識はしてないですね。昔から。でも内心、自分にキレたりしますよ(笑)。打たれたら『なんでこんな球、投げたんやろ』とか。味方の失策は何とも思わない。むしろ『絶対抑えたろう』って思う。逆に自分が四球を出した時は、内野手に『あとは、お願いします』という感じ。失策の時は頑張って抑えようと。それで(野手との)信頼関係ができていくんじゃないかな」

 -獲得したいタイトルなどは。

 「ゴールデングラブ賞は、取りたかったですね。失策は1個しましたけど、昨年めっちゃアウト取ってるんですよ。ピッチャーライナーもいっぱい捕っているし、ワンチャンないかな?と思ってました(笑)。でも先発投手で一番価値があるのは、僕の中では最高勝率かな。貯金のできる投手が一番強い。それで防御率が悪ければアレですけど、最高勝率を取れるんだったら防御率も絶対にいいはず。貯金もめちゃくちゃしている、となったら最高勝率を取るのが一番。負けないことが一番すごい」

 -改めて今年の目標を。

 「できるなら全部でキャリアハイの成績を収めたい。一番はイニングかな。1イニングでも多く投げられるようにしたい」

 -新井監督を胴上げしたい。

 「したいですね。あとは(優勝旅行で)ハワイ旅行に行ったことがないので、行ってみたい。16年からの3連覇時は、トミー・ジョン手術をしていましたから。僕が(1軍の先発ローテで)投げ始めてからずっとBクラスやったんですよ。昨年が初めてAクラス。でもやっぱり2位では物足りない。いい思いをして、終わりたいなと思います」

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