カープ田村を侍・井端監督ベタ褒め 「1スイング見た時から素晴らしい」「どこまでいくのか」
「広島春季キャンプ」(7日、日南)
侍ジャパンの井端弘和監督(48)が7日、広島がキャンプを張る宮崎県日南市の天福球場を訪問した。3月6、7日に行われる欧州代表との強化試合のメンバーに森下、栗林、坂倉、小園、田村が内定している中、高卒3年目の田村俊介外野手(20)の打撃を絶賛。「1スイング見た時から素晴らしいと思った」とぞっこんぶりを隠すことなく、広島でのレギュラー獲りを期待した。
ランチ休憩中のグラウンドに井端監督が足を踏み入れると、すぐさま表情を引き締める面々が近寄ってきた。侍ジャパンの一員として昨秋のアジアプロ野球チャンピオンシップで共闘した坂倉と小園に加えて、高卒3年目の田村も会話の輪の中へ。おのおのに声をかけた侍指揮官は若手のホープを褒めちぎった。
「田村選手は1スイングを見た時から素晴らしいと思いました。昨年の秋、ジャパンとカープの練習試合で日本の投手からヒットを何本も打ったというのはすごく印象に残っています。良いものを持っているので、レギュラーとして今シーズン出てほしいなと思います」
田村は昨季1軍デビューしたばかりで、通算10試合の出場で22打数8安打、打率・364の成績を残している。井端監督は進境著しい若武者の無限の可能性に言及。「振る力もありますし、まだ年齢的にも(今年が)21歳の年ですからね。そう考えると、どこまでいくのか非常に楽しみですね」と期待する。
ブレーク候補となる前から井端監督は、その潜在能力にぞっこんだった。昨秋のアジアプロ野球チャンピオンシップの最終候補にも残していたというが、田村が昨年9月17日の中日戦で投球を受けて左手小指を骨折。招集が見送られていた。
その後、同大会直前の侍ジャパンと広島の練習試合で田村が2安打。メンバー選出を考えていた若武者が目の前で快音を奏で、「そこで『あー!』とは思いました。その時にこの春には(メンバーに)入れたいと思いましたね」と明かした。
高評価を受けた田村は「自信にはなりますが、もっとレベルアップしていきたい」と現状に満足感はない。この日のシート打撃では一ゴロと四球に終わり、「まだまだダメだなと思いました。もっと数をこなしたい」と悔しさをにじませた。
新井監督は「自分のチームの選手が代表の監督さんに褒めてもらうのは、自分の子どもを褒められているよう。素直にうれしい」とほっこり顔。国際舞台でのプレーは何物にも代えがたい貴重な経験となる。侍指揮官は送り出す側の“親心”も胸に、広島期待の新星の成長に一役買う。
◆田村 俊介(たむら・しゅんすけ)2003年8月25日生まれ、20歳。京都府出身。178センチ、97キロ。左投げ左打ち。外野手。愛工大名電から21年度ドラフト4位で広島入団。プロ初出場は23年3月31日・ヤクルト戦(神宮)。同年9月17日・中日戦で左手小指へ死球を受け「左小指中手骨骨折」。非凡な打撃センスに新井監督からも期待を寄せられている。