広島・九里 安仁屋氏に激白!200イニング投げる「最後まで行かせても大丈夫と思われる選手に」 ドライブラインでフォーム改良
新旧の鉄腕が膝を突き合わせた。広島・九里亜蓮投手(32)がデイリースポーツ評論家・安仁屋宗八氏(79)と対談を行い、進化するために今もなお、変化を恐れない姿勢や開幕投手への熱き思いを明かした。今季が3年契約の3年目。過去にはメジャーへの興味も口にしていた右腕は、現在の思いにも言及した。
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安仁屋氏(以下安仁屋)「じゃあよろしくお願いしますね」
九里「よろしくお願いします」
安仁屋「九里に対して、これまでのイメージというのがあったのよね。(以前は)300球近くブルペンで投げ込んでいた。今年の場合はスローペースなんだろうなと感じているけど、その辺はどう?」
九里「ピッチングで球数は投げてないんですけど、ドライブラインにずっと行かせてもらっていて、重たいボールを結構な数、投げているので」
安仁屋「大谷翔平が投げているようなボール?」
九里「そうです。あれが多い時は、重たいボールでも1日に100球くらい投げるので。投げてないように見えて、意外と投げているんです。ブルペンでは球数は少ないですけど、違うところでボールを投げている感じですね」
安仁屋「それを毎日やるの?」
九里「メニューが日によって変わっているので、そのメニューに沿ってやりながら、プラスでやり投げのようなジャベリックスローをやったり、投げることに関してはいろんなことをやっています」
安仁屋「そうなんだ。今年から始めたの?」
九里「重たいボールは去年から入れ始めました。その調整方法は去年のキャンプから始めて、やり投げ自体は前にもやっていたんですけど、また今年から。去年の11月にドライブラインのスタッフが日本に来ていたので、そこに行って、今フォームもちょっと変えたんですけど、そのフォームにつながるかなと思って、やり投げをまた再開したって感じです」
安仁屋「ピッチングを見ていて、ちょっと突っ立っているような印象を受けたんだよね。去年までは前まで体重をかけて投げていたのが、ちょっと歩幅が小さく感じるし、上体で投げているように見えるから、高めにボールが浮き出すんじゃないかなっていうイメージもしたんよ」
九里「そのフォームにしようと思った根拠が、トレーニングとか、いろんな数値を測るものがあるんですけど、その数値を測った中で、僕は重心が低いところのパワーよりも、重心が高いところのパワーの方が強かったんです。その中で球速も上げて、球も強くしてやろうと思うと、重心を上げないと、回転の速度も速くならない。球の勢い、下半身の力がどうしても自分でも向かっているつもりなんですけど、歩幅が広くて、重心が低い分、下の力が上に伝わってない投げ方をしていたんです」
安仁屋「そういうデータが出とるってわけだな」
九里「はい。なので今は去年みたいにガッ!と力を入れている感じがなくても、そんなに悪くないボールがいっているのかなと思います」
安仁屋「ドライブラインを取り入れて、去年は勝ち星的には少なかったじゃん。そういうものはまだ続けていくつもり?」
九里「続けるっていうより、僕自身進化しないといけないと思っています。去年のファン感謝デーで安仁屋さんに言われましたけど、『174イニングで満足するな。200イニング投げないと意味がない』って言葉も、僕もそう思いますし」
安仁屋「そうそう。イニング数、わしはそこにこだわってほしい。なぜかと言うと、体力的に大瀬良とか、森下とかと違うと感じるから。体の強さをものすごく感じる。最低200イニングを目標に1年間通して投げてほしいなと思う」
九里「やっぱり今の時代はどうしても分業制とか、リリーフだったり抑えがありますけど、そこに抗(あらが)うというか、自分がマウンドに上がった時は最後まで行かせても大丈夫だって思われる選手になりたいと思います。安仁屋さんから『最低200イニング』と言われて、そこはやっぱり目標というよりも、しっかりと見据えてやりたいと思います」
◆九里 亜蓮(くり・あれん)1991年9月1日生まれ、32歳。鳥取県出身。187センチ、96キロ。右投げ右打ち。投手。背番号11。今季推定年俸1億4000万円。岡山理大付から亜大を経て、2013年度ドラフト2位で広島入団。プロ1年目の14年3月29日・中日戦(ナゴヤドーム)で初登板初先発初勝利。
◆安仁屋 宗八(あにや・そうはち)1944年8月17日生まれ、79歳。沖縄県出身。現役時代は右投げ右打ちの投手。沖縄(現・沖縄尚学)から琉球煙草を経て、64年に広島入団。75年に阪神に移籍。80年に広島に復帰し、81年に現役引退。引退後は広島の1軍投手コーチ、2軍監督などを務め、現在はデイリースポーツ評論家。通算成績は655試合119勝124敗22セーブ、防御率3.08。最優秀防御率1回(75年)。