カープ秋山 5年ぶり古巣本拠地で躍動 温かい拍手「あんな近くで西武ファンの応援を聞いたのは初めて」
「オープン戦、西武3-1広島」(19日、ベルーナドーム)
広島の秋山翔吾外野手(35)が19日、5年ぶりにベルーナドームでプレーし、攻守で躍動した。西武時代に9年間プレーした、かつての本拠地で同学年の西武・増田から二塁打をマーク。左翼守備でも初回にタッチアップした走者を好判断で刺してピンチを救った。古巣ファンからの温かい拍手や声援も背に、今年初のフル出場を果たした。
赤いユニホームに身を包んだ秋山が左翼の守備位置へ走る。初回の西武攻撃前、キャッチボールを終えると、左翼席に陣取る古巣のファンに向かって、帽子を取って頭を下げた。「あんな近くで西武ファンの応援を聞いたのは初めてだったので、今までと違うなと思った」。かつての“庭”に5年ぶりに戻ってきた中、注がれたのは温かい拍手だった。
その左翼スタンドにあと一歩だった。1-1の七回先頭で迎えた3打席目で左翼フェンス直撃の二塁打を放った。これがオープン戦での自身初の長打となり、「久しぶりにしっかり振れたし、打てた」。やり慣れた場所で快音を奏で、「打席に立った時の景色はやっぱり変わらないので。それはすごく気持ち良く入れたところはあった」とうなずいた。
手応えをにじませた七回の一打は、元チームメートで同じ1988年生まれの西武・増田のスライダーを捉えたもの。「同級生で一緒にやっていて、あの空間で一緒に野球をやるってことはなかったですからね。そういう意味では感慨深いというか」としみじみと話した。
左翼守備では瞬時の好判断が光った。1-0で迎えた初回1死満塁のピンチ。中村剛が放ったフライを定位置より後ろで捕球すると、三走の本塁生還は諦め、一走・アギラーがタッチアップしていた二塁へと送球した。
二塁ベースは無人だったが、一塁手・シャイナーがギリギリのところでカバーに入って一走をタッチアウト。「(二塁ベースに)誰もいなかったけど、投げちゃいましたという感じ。バウンドはともかく、コースは真っすぐだったからタッチプレーまでいった。ボールの進みが良いグラウンドだから出来たことかなと思う」と秋山。同球場を知り尽くす背番号9ならではの好プレーでピンチを最少失点で脱した。
昨年10月に右膝外側半月板部分切除術を受けて以降、初めてのフル出場。「思い出深い」と語るベルーナドームで、開幕への段階をまた1つ上った。オープン戦は残り4戦となった。慣れ親しんだ場所でのプレーを弾みにして総仕上げに入る。