広島・田村 鬼門・甲子園も3戦連続完封負けのムードも打ち破る 高3夏アーチ 完全アウェーも「そこの面も含めて楽しみ」
広島・田村俊介外野手(20)が8日、チームの鬼門突破に貢献する意気込みを示した。9日からは甲子園で阪神3連戦。愛工大名電3年時には21年夏の甲子園に出場し、1回戦で右中間に本塁打を放った思い出深い舞台でもある。チームは甲子園で昨季、CSファイナルSを含めて1分けを挟み10連敗中。3試合連続完封負けで連敗中のムードを若鯉が変える。
特別な球場での3連戦を前に、自然と胸が高鳴った。同時に抱くのは、一日も早い停滞ムードの打破。甲子園初見参となる田村は「甲子園は早くやってみたいと思っていた。楽しみ」と初々しい表情で意気込んだ。
現在チームは3試合連続完封負けの3連敗中。そして甲子園では昨季、2勝9敗1分けと大きく負け越した。CSファイナルSでの3連敗を含むと5月20日の一戦から引き分けを挟み10連敗中と、まさに鬼門となっている。打線は活気を失い、投手陣も切れ目のない阪神打線に痛打される場面が目立った。再びチームを加速させるべく、自慢のバットで連敗を止め、過去のデータ払拭を狙う。
愛工大名電では21年夏、エース兼3番打者として甲子園に出場。1回戦の東北学院戦でチームは敗れたが、3点を追う八回に右中間へのソロ本塁打で持ち前の打撃センスを披露した思い出の球場でもある。「記憶にはありますが、その時の雰囲気とかは全然覚えていないですね。高校野球とは全然違いますし」。無我夢中で仲間と白球を追いかけた時間を、おぼろげながら思い返した。
当時はコロナ禍もあってスタンドには学校関係者しかいなかった。阪神との公式戦では、球場の大部分が虎党で埋め尽くされ、広島としては完全アウェーの空気で戦うことになる。それでも「そこの面も含めて楽しみというか、阪神ファンは(熱気が)すごいので。その中でも自分のプレーをしたい」と決して圧倒されることなく自身のスタンスを貫いていく構えだ。
ここまで7試合に出場して打率は・167。まだ本来の姿は発揮できていないが、6日・中日戦ではプロ入り初の三塁打を記録するなど敗戦の中で気を吐いた。手ごわい阪神投手陣との顔合わせになるが「これまでと変わらずに1球目から勝負する。自分の間、タイミングでしっかり勝負できれば」と快音を響かせるイメージを膨らませた。
同時に積極性も押し出す。今季の4安打は全て4球目以内。6日の三塁打は初球だった。「ストライクに来た球は、全部いこうと思っている。その中でいい内容が出ればなと。アウェーの中でも、勝つためのプレーをやっていきたい」と田村。逆風を力に変えて、敵地の鯉党に笑顔を届ける。