広島・九里8戦目でようやくつかんだ1勝! 「皆さんに勝たせてもらった」 鯉今季最多貯金2
「広島4-3巨人」(18日、マツダスタジアム)
広島が逆転勝ちで2連勝。貯金を今季最多の「2」とした。開幕投手を務めたものの自身4連敗中で勝ち星がなかった先発・九里亜蓮投手(32)は5回1/3を2失点。今季8戦目にして、ようやく初勝利をつかんだ。打線も3試合ぶりの2桁安打で九里を援護し、中継ぎ陣も必死の継投で逃げ切った。この勢いで同一カード3連勝を狙う。
今年初めて上がった晴れ舞台で、九里は涙をこらえるようにして口を開いた。「苦しかったです」。出口の見えないトンネルを歩きながらも、耐えて耐えて勝利の女神を振り向かせた。渇望した1勝目。やっと心の底から笑えた。「皆さんに勝たせてもらった」と仲間への感謝は尽きない。
序盤からリズムに乗れなかった。二回は1死一、二塁から泉口に先制の右前適時打。なおも一、三塁から赤星にセーフティースクイズ(記録は犠打野選)を決められて2点を失った。
思うようにアウトを重ねられない展開。三回を無失点で切り抜けると、ベテラン・秋山に背中を押してもらった。「『自分のリズムで、どんどん投げ込んでいけ』と言葉をかけてもらって。そういう言葉をかけてもらって、思い切っていこうと切り替えられたところもあった。すごく助かりました」と振り返った。
四、五回は走者を出しながらも決定打は許さなかった。1点リードの六回は先頭・岸田に二塁打、犠打で1死三塁となったところで降板。後を受けた森浦が一、三塁のピンチを脱すると、ベンチで両手を上げて喜びを表現した。
今季はプロ入り初めて開幕投手を託されたシーズン。開幕戦は7回3失点で勝敗は付かず、続く4月5日・中日戦は8回を投げて自責点0で負け投手になった。援護を受けると踏ん張れず、好投しても援護がない試合が目立った。
それでも「一試合一試合、自分の投球をするだけだと思ってやってきました」と下を向かず、懸命に腕を振ってきた。「家に帰っても普段通りに接してくれましたし、家では野球のことを考えないように気を使ってくれていたと思います」と、一番の支えである家族にも届ける白星となった。
新井監督は「本当に苦しかったと思うけど、きょう初勝利挙げられて良かったと思う。野手もそうだし、後を継いだ森浦、矢崎、島内、栗林。『何とか亜蓮に初勝利を』という気持ちのこもった試合だった」とカープらしい全員野球でつかんだ1勝だと形容した。「一つでも多くアウトを取って投げられるようにやっていけたら」と九里。始まりの1勝でチームも今季最多の貯金2だ。これを合図に背番号11が巻き返す。