広島・田中 2戦連続完封負け寸前で放った起死回生3ラン 延長サヨナラ負けも土壇場で執念見せた

 「ソフトバンク5-3広島」(2日、みずほペイペイドーム)

 ベテランが描いた放物線に意地を見た。広島の田中広輔内野手(34)が3点ビハインドの九回2死一、二塁から起死回生の2号3ラン。試合を振り出しに戻し、延長戦に持ち込んだ。十回に島内颯太郎投手(27)が2ランを被弾して今季3度目のサヨナラ負け。連敗は4に伸び、首位陥落となったが、土壇場で見せた執念の粘りは今後の戦いにつながるはずだ。

 屈辱の2戦連続完封負けまであと1死という絶体絶命の状況で、まな板の上の鯉が大きく跳ねた。試合を一時振り出しに戻す2号3ランを決めた田中は一塁を回ると右拳を固めて気合のガッツポーズ。諦めない姿勢を最高の結果で表現した。

 「いい投手だというのは分かっていた。初球にインコースが来たので、思い切って、(インコースは)来ないと信じて踏み込んで打ちました」

 防御率0・00の鉄壁左腕を打ち崩した。0-3の九回2死一、二塁。途中出場から勝負どころで打席が回ってくると、ここまで12試合に登板して無失点だったヘルナンデスと対峙(たいじ)した。1球目の直球を見逃し、2球目の高め直球を強振。打球は右翼ポール際へ飛び込んだ。

 ベンチで手をたたき、雄たけびを上げた新井監督も「本当に広輔よく打ったよね。ベテランの技術と経験と決め。広輔は“決める”ことができるから。技術と経験が詰まったすごいホームランだったと思います」と絶賛した。その九回は小園と石原が安打でつないだ好機で、指揮官は「3点差になったけど、ベンチは諦めていなかった。負けはしましたけど、たくさん収穫もあった試合だったかなと思います」と強調。こう言って前を向けるのもベテランの一発があったからだ。

 今季はここまでスタメンは10試合で途中からの出場が主となっている田中。「僕だったらこういうふうに入るなとか、自分で思い描きながらやったり、あとはいろいろ見ながら準備している」と出番は限られていてもプロフェッショナルであり続けている。小窪打撃コーチも「練習からずっと見本になってやってくれている」と目を細める。

 田中が本塁打を放てば2020年9月25日・DeNA戦から12連勝という不敗神話は終わりを告げた。しかし、劇的なアーチに左翼スタンドでは号泣する鯉党もいた。「選手冥利(みょうり)に尽きる。もっともっと頑張らないといけない」と背番号2。諦めていなかったのはファンも同じだった。チームは4連敗で首位陥落となったが、福岡の地で残した爪痕は必ず今後につながる。

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