広島・大瀬良がノーヒットノーラン! 12年マエケン以来鯉5人目 カープ3連勝で奪首

 ノーヒットノーランを達成し、ナインから祝福される大瀬良(撮影・市尻達拡)
 ノーヒットノーランを達成し、新井監督と抱き合う大瀬良(撮影・市尻達拡)
 6回、矢野の好守に笑顔でグラブを出す大瀬良(撮影・市尻達拡)
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 「広島4-0ロッテ」(7日、マツダスタジアム)

 広島の大瀬良大地投手(32)が7日、マツダスタジアムで行われたロッテ①戦でノーヒットノーランを達成した。達成は5月24日の巨人・戸郷以来で史上90人目、通算102度目。広島球団では2012年の前田健太(現メジャー、タイガース)以来5人目(通算7度目)の快挙となった。エースの快投でチームも3連勝を飾り、6日ぶりにセ・リーグ首位に返り咲いた。

 27個目のアウトを奪う瞬間を見届けると、大瀬良は右手を大きく突き上げた。スタンド総立ちの本拠地の真ん中に、優勝したかのような歓喜の輪が広がっていく。女房役の会沢に抱きかかえられ、仲間たちと飛び跳ねながら快挙を味わった。エース・大瀬良大地ここにあり。「信じられないというのが一番。自分のことじゃないような(気持ち)」と興奮気味に心境を明かした。

 意識したのは九回。割れんばかりの声援が背中を押した。「球場のああいう雰囲気、歓声がすごくうれしくて。『ここまできたら頑張りたいな』と」。2死から連続四球を与えたが、ポランコを右飛に打ち取って偉業を成し遂げた。「特に何が良かったというのはないけど、強いて言うなら低めのいいところに(変化球が)集まって散ってくれた」と振り返った。

 プロ入り前も経験したことがない金字塔。5年連続で務めていた開幕投手の座は今季、同期入団の九里に譲った。それでも下を向くことなく前に進み、与えられた登板で最高のパフォーマンスを披露。自らの交流戦連敗も7で止め、19年6月5日・西武戦以来の交流戦白星にもなった。

 前回登板からの調整期間では最先端のマシンの“協力”も得た。球団がこのほど「i Pitch」という機器を導入。投手の腕の高さ、球速、回転数などの数値を入力すると実際の投手の投球が再現されるという。その機器に自分の数値を入れ、実際に打席に立って打者目線で「投手・大瀬良」を感じ取った。

 「自分の数値で(打者から)こんな感じで見えるんだなとか。『曲がりが小さかったらもうちょっと嫌かな』とか。基本的には野手の(使う)ものなんでしょうけど、うまく活用すればピッチャーにも好影響があるかなと」。あらゆる手段を用いて自らの向上につなげる。その積み重ねは今季の好調ぶりと決して無縁ではない。

 新井監督は会見場に「エキサイティング」と話しながら現れ「自分も初めて味わった緊張感でした。素晴らしかった」と絶賛した。

 規定投球回にも到達し、防御率1・07でリーグ1位の座に返り咲いた。「苦しいこともいっぱいありましたが、その都度、いろんなことを糧にして学びながらやっていきたいと思って。次の登板が大事だと思うので、頑張りたい」。大黒柱はさらなる歓喜を求めてチームのために腕を振る。

 ◇大瀬良 大地(おおせら・だいち)1991年6月17日生まれ、32歳。長崎県出身。188センチ、94キロ。右投げ右打ち。投手。長崎日大高から九州共立大を経て、2013年度ドラフト1位で広島入団。14年4月2日・ヤクルト戦(マツダ)でプロ初登板初先発。プロ1年目の14年に10勝8敗で新人王。18年に15勝をマークして最多勝と最高勝率(・682)のタイトルを獲得。今季はここまで9試合で3勝、防御率1・07。

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