カープ長谷部 飛躍の裏に黒田氏からの直接指導 今春キャンプでツーシーム習得「使えている」

 広島で奮闘する若手選手に焦点を当てた企画「跳ねろ!若鯉」。第3回は21日・阪神戦(甲子園)でプロ初登板を果たした2年目の長谷部銀次投手(26)を取り上げる。1軍登板なしに終わった昨季からの巻き返しを図り、今春キャンプから試行錯誤を重ねてきた。ウエスタンで好結果を残し、1軍へ初昇格。飛躍の裏側にはレジェンドの直接指導があった。

 やっと訪れた1軍初登板を振り返る長谷部の表情は硬かった。「ファームでやってきたことを出せていない。悔しい気持ちの方が大きい」。21日・阪神戦で2-12の七回に5番手でマウンドに上り1回無失点。ただ、1死から与えた四球について「無駄な走者だった」と猛省。「もちろん緊張はしていた。できたこととできなかったことを精査して次につなげたい」と次回登板を見据えた。

 22年度ドラフト6位でトヨタ自動車から入団。即戦力左腕として期待されるも、1年目の昨季は2軍で39試合に登板し、防御率5・62に終わった。「去年は頭の中がごちゃごちゃになっていた。フォームのことや自分の中のことでいっぱいになって、打者と勝負できていなかった」と不振の原因を分析する。

 迎えた今季はキャンプから「波のない投球」を心がけてきた。「常に100点で投げるのは不可能。80点でも抑えられるような投球を探している」。たどり着いたのが投球の原点でもある直球だ。「軸をつくりたかった。そこで考え直したらやっぱり直球で押していくのが僕の持ち味だと思った」。ウエスタンではピンチの場面で直球を続けるなど、徐々に自信を取り戻していった。

 直球に加えてもう一つ、左腕の飛躍を支えている球種がツーシームだ。今春のキャンプで黒田博樹球団アドバイザー(49)から直接指導を受け、習得に挑戦。「苦手の右打者に対して選択肢を増やしたかった。投げ始めてからは左打者にも、内角へ食い込んでいくボールとして使えている」と投球の幅が広がり、今季の躍進につながっていると明かした。

 前半戦、チームを支えたのは間違いなく投手陣だ。特にリリーフ陣は12球団トップの救援防御率2・02をマーク。長谷部と同じ左腕の塹江、森浦、黒原は防御率1点台を記録するなど、欠かせない存在になっている。強力なライバルたちがそろうが「やることは変わらない。今の自分ができることを積み重ねていきたい」と長谷部。つかみとった1軍舞台で腕を振り続けていく。

 ◆長谷部 銀次(はせべ・ぎんじ)1998年7月29日生まれ、26歳。愛知県岡崎市出身。184センチ、85キロ。左投げ左打ち、投手。中京大中京、慶大、トヨタ自動車を経て22年度ドラフト6位で広島入団。今季ウエスタンではリリーフとして19試合に登板し、1勝2敗、防御率1・02。母方の先祖は解剖学の「解体新書」で知られる杉田玄白。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

広島カープ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス