広島・玉村 プロ初完投でチーム連敗2で止めた 無四球133球「最後は完封したかった」 首位・巨人に2差

 2勝目をプロ初完投で飾り、白い歯をこぼす玉村(撮影・市尻達拡)
 お立ち台でポーズを取る矢野と玉村(撮影・市尻達拡)
 汗を飛ばしながら力投する玉村(撮影・市尻達拡)
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 「広島6-3DeNA」(30日、マツダスタジアム)

 広島・玉村昇悟投手(23)がプロ初完投で今季2勝目を挙げた。八回までDeNA打線を無失点に封じる好投を披露。初完封まであと1死のところで牧に3ランを被弾したが、9回5安打3失点(自責点0)でチームの連敗を2で止めた。首位・巨人が敗れ、ゲーム差は2に縮まった。17日ぶりの本拠地での一戦に勝利し、ここから再び勢いに乗っていく。

 勝利の瞬間をマウンドで迎えても、玉村に充実感はなかった。完封目前の九回2死一、二塁で牧に一発を浴びると、悔しそうに放物線の行方を見つめた。「あそこで(試合を)締められたら良かったけど、ホームランを打たれているので」と反省を口にした。それでもプロ初の完投勝利。今季初めてカード頭を託されたチームの期待に、満点回答で応えてみせた。

 初回から3イニング連続三者凡退。過去2試合は初回に失点を重ねていただけに「初回をポンポンポンといけたのが大きかった。走者を出しても一人一人というか、落ち着いた投球ができた」と納得顔で振り返った。

 四回2死で佐野に初安打となる二塁打を許すも牧を遊ゴロ。七回は2死で宮崎にカーブを3球続けて三ゴロに片付けた。キレのある直球で押しながらスライダー、チェンジアップを組み合わせる硬軟織り交ぜた投球で隙を与えなかった。

 九回のマウンドに立つと、スタンドは大歓声。2死一、二塁で牧への3球目は一塁ベンチ前への飛球となった。プロ初完封かと思われたが、一塁・田中が落球。その2球後に左越えへ3ランを許した。「最後は完封したかったけど、ファンの皆さんに応えられなくて悔しい。次は完封を目指してステップアップできたら」。現状に満足することなく、さらなる飛躍を誓った。

 自責点0で、プロ入り最多133球の力投。新井監督は「よく投げ切った。彼はこれからの投手。あそこはセーブシチュエーションになるまではいかせると決めてました」と称賛した。

 以前は投球前の立ち姿が前傾だったが、スッと真っすぐ立つようになっていた。本人は意識していないと話すが「フラットに立てていたので、いい感じかな」と手応え十分。投球が良化した要因には「勇気を持って脱力できるようになった。どうしても序盤は体にたまっている力を出したくなるけど、それを抑えて“いい力感”で投げようと思っています」と自己分析した。

 チームは17日ぶりの本拠地での一戦を快勝。連敗を2で止め、首位・巨人には2ゲーム差に詰め寄った。この日は母校・丹生高の春木監督がスタンドで観戦。勇姿を届け「来てもらっているんで、良かった」と玉村。節目の勝利を弾みに白星をさらに積み上げていく。

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