“黙ってやる” 広島・森は誰よりも準備していた 「悔しい気持ちもありましたけど」待ちに待った初登板
「阪神3-6広島」(9日、京セラドーム大阪)
広島・森翔平投手(26)が今季初先発で5回3安打1失点(自責0)の好投。23年8月2日・DeNA戦以来、約1年ぶりの白星を手にし、好調な先発陣に厚みを加えた。2軍でチャンスを待ち続けた左腕の素顔を担当記者が明かした。
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今季も開幕は2軍スタート。入団から3年連続だった。それでも腐ることなく2軍の先発ローテとしてフル回転。結果を残しながら昇格の時をうかがっていたが、なかなか出番は来なかった。
一方で、21年度のドラフト同期たちは着実にチームの戦力に。同1位の黒原や同3位の中村健、同6位の末包らの活躍をテレビで目にし、「やっぱり悔しいですよ。一緒に戦えていないという寂しさもあります」と本音を漏らすこともあった。
もどかしさや焦りを抱える中で、自らテーマを掲げた。
「『黙ってやる』という。いつ声が掛かってもいい状態で待つ。左右されずに自分がやることをやって待つという感じです。悔しい気持ちもありましたけど、しょうがないので」
熾烈(しれつ)な首位争いを繰り広げる中で、訪れた初登板。大チャンスを前に高ぶる気持ちを抑え込み、静かに意気込んでいた。「ひっくり返すつもりでやりたい。ここをつかむかどうかなので」。誰よりも準備をしてきた男が、ここぞの場面で一番の輝きを放った。(デイリースポーツ広島担当・高橋涼太朗)