広島 鬼門でまた負け越し首位陥落 五回同点機で九里に代打も勝負手不発 新井監督前向く「どうってことない」

 敗戦を見届け、ベンチを後にする新井監督(撮影・市尻達拡)
 選手交代を告げる新井監督(撮影・市尻達拡)
 メンバー表交換を終え、審判団と握手をする新井監督と立浪監督(撮影・市尻達拡)
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 「中日5-1広島」(29日、バンテリンドーム)

 広島が鬼門・バンテリンドームで敗れ、試合のなかった巨人と入れ替わる形で首位から陥落した。2位になるのは7月31日以来。久々に追う立場になったものの新井貴浩監督(47)は、「どうってことない」と強調。五回には勝負手を連発し、勝利への執念を見せた。

 試合後にベンチ裏へと姿を見せた新井監督に険しさはなかった。8月最終盤での首位陥落。巨人とは0・5差とはいえ、表情に焦りが出ても不思議ではない大きな敗戦直後でも悠然と構えた。立場の変化にも、「追いかける、追いかけられるとか、そもそもそういうことを思っていない。ほとんど変わらないでしょ?」と前を向いた。

 采配で勝利への執着を見せた。0-2の五回に勝負手を連発。坂倉、堂林の2者連続長打で1点を返し、なおも1死三塁で矢野がスクイズを敢行した。結果はファウルとなり、その後、矢野は投ゴロに倒れるも、指揮官は「何か点を取れる時っていうのはどんどんやっていこうと思っている。チャンスだったのでね」と強調した。

 2死二塁で投手・九里に打席が回ったところでさらなるムチ入れ。ネクストバッターズサークルで待機していた右腕を下げ、代打に上本を起用した。

 「向こうは絶対的なクローザーがいるから、あの回を終えるとあと3回しか(攻撃のチャンスが)ないと考えた。六、七、八回とね。明日がもう休みと出ていたから、(九里を)行かしてやりたかったけど、あそこはもう得点圏なのでね。代打って形にしました」

 ロースコアが続くバンテリンドームでの試合。相手は絶対的守護神・マルティネスが控えるなど、勝ちパターンが強力であること、30日の中止が試合前の時点で決定しており、中継ぎ陣がつぎ込めることを考慮し、早めの仕掛けに打って出た。ただ、結果的には上本は左飛。絶好の同点機を生かすことはできなかった。

 2点を追う八回は1死から秋山が死球で出塁し、代打に田中を投入。マルティネスがマウンドへ上がる前に得点を挙げることを狙ったが、ベテランは空振り三振に倒れて無得点に終わった。田中は6月22日・中日戦以降、22打席無安打になった。

 これで8月初の2カード連続負け越しとなり、バンテリンドームでは3勝7敗1分け。中日との対戦成績も7勝11敗1分けで5位チームへの分の悪さが際立つ。鬼門で首位陥落となったものの、新井監督は「どうってことない。今までと変わらずですね」と強調した。悪い流れは名古屋に置いていき、地元から盛り返す。

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