広島・栗林「申し訳ないしかない」 悪夢1死も奪えず6失点…九回9失点大逆転負け 新井監督ゲキ実らず巨人と3ゲーム差

 「広島2-9巨人」(11日、マツダスタジアム)

 巨人追走へ、痛過ぎる敗戦だ。広島は2点リードの九回に守護神・栗林良吏投手(28)が大乱調。無死満塁のピンチを招いたところで新井監督がマウンドに向かい、直接背中を押した。だが右腕は1死も奪えないまま大量6失点。本拠地でセーブ機会に失敗し、敗戦投手になるのはプロ入り初。痛恨の3連敗で巨人とのゲーム差は3に広がってしまった。

 目を覆いたくなるような悲劇が待っていた。踏ん張り切れず一気に黒星を背負った、まさかの結末。栗林は試合後のベンチ裏で、敗戦の責任を背負いながら「大事な試合で勝てなかったのは申し訳ないしかない」と必死に言葉を絞り出した。

 誰が予想できただろうか。2点リードの九回、栗林は先頭の代打・中山にストレートの四球。続く丸にも四球を与え、坂本の安打で無死満塁とされた。明らかにいつもと違う投球。ここで新井監督が自らマウンドに足を運び「結果は気にしなくていいから、思い切って腕を振ればいいから」とゲキを飛ばした。

 しかし、栗林の変調は続く。吉川への押し出し死球で1点差。岡本和の左前適時打で試合を振り出しに戻された。なおも無死満塁からモンテスに押し出し四球。1死も取れずに、1イニング4四死球と制球が定まらず交代が告げられた。

 後を受けた中継ぎ陣も流れを止められない。打者13人の攻撃を許し、一挙9失点。八回までリードしていた空気は完全に消え、敗戦のショックだけが残った。

 栗林は「アドゥワも含め、ハーンも頑張ってつないでくれて。野手の皆さんも何とか点を取ってくれてのマウンドだった」。指揮官の激励には「もちろん自分の中で、気持ちがより入った。何とか踏ん張ろうという気持ちにはなりましたけど、結果が出なかった」と自責の念を言葉に変えた。

 栗林のセーブ機会失敗は今季2度目だが、本拠地で救援に失敗して敗戦投手になるのはプロ入り初めて。今季ここまで55試合で計7失点だった守護神が、プロ入りワーストの1イニングだけで6失点。信じがたい敗戦が現実になってしまった。

 6月29日・巨人戦以来、直接マウンドに出向いた新井監督は「それだけね。最後の3アウトというのは難しいと思う。残り試合も少ないので、引きずることなくスパッと切り替えて、また明日、球場に来てもらいたい」と背中を押した。12日以降もセーブ機会なら栗林を投入するかと問われ「当然」と信頼は揺るがなかった。

 3連敗で9月は2勝7敗。巨人との直接対決に負け越し、ゲーム差は3に広がった。「(次戦で)任せてもらえるなら、しっかり結果で返せるようにしたい」と栗林。黒星の重みに耐えながら、必ずやり返してみせる。

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