さらば精密機械!広島・野村が引退 リーグ3連覇の立役者 カープ一筋13年の現役に幕 デビューから210試合連続先発登板の日本記録
広島は27日、野村祐輔投手(35)が今季限りで現役を引退することを発表した。過去には新人王、最多勝を獲得し、2016年からのリーグ3連覇に大きく貢献。引退セレモニーはシーズン最終戦の10月5日・ヤクルト戦(マツダ)で行われることになり、新井貴浩監督(47)は右腕を先発させる方針を示した。
その時が来た。記憶にも記録にも残る技巧派右腕がマウンドから去る。チーム最年長の35歳。数々の輝かしい功績を胸に重い決断を下した。引退発表に伴い、野村はファンに感謝の言葉を届けた。
「今季限りで引退することを決断しました。カープで13年間プレーできたことを誇りに思います。私の野球人生の中で3度の優勝を経験させていただいたことはとても大きな宝物です。今まで野球を続けられたのは皆さまの応援や支えがあったからこそだと思います。たくさんのことを指導していただき、成長させてくださった皆さまに深く感謝しています。13年間、いつも温かく力強い声援を送ってくださったファンの皆さま、本当にありがとうございました」
鯉一筋のプロ野球人生だった。2011年度ドラフト1位でカープに入団。1年目にいきなり9勝11敗、防御率1・98の成績を残し、新人王を獲得した。16年には16勝を挙げ、最多勝と最高勝率のタイトルにも輝き、チームを25年ぶりのリーグ優勝へと導いた。
19年オフにはFA権を取得するも、権利を行使せずに残留した。入団前から頭の中にあった「最後はカープで終われたらいいな」という思い。カープを愛し、鯉党から愛された。赤いユニホームに袖を通し、大粒の汗を飛ばしながら腕を振り続けた13年間が色あせることはない。
広陵高時代には3年時に小林誠司(巨人)らとともに夏の甲子園に出場し準優勝へと導いた。岡山県出身であるものの、広島の地で活躍した軌跡は広島県民の胸に深く刻み込まれている。
直近は4年間で3勝止まり。今季も開幕からファーム暮らしが続き、1軍ではここまで2試合の登板で0勝1敗、防御率2・70だった。それでも準備を怠らない姿勢は若手の手本となった。新井監督は「ずっと腐ることなく準備してくれていたのは分かっている」と敬意を表し、「本当にお疲れさまでした」とねぎらった。
10月5日のヤクルト戦で野村は先発を務める。「順位が決まっていようが決まっていまいが、それに値する選手なので、舞台を整えてあげたい」と新井監督。右腕はデビューから210試合連続先発登板の日本記録を継続させている。現役最後も立つのはまっさらなマウンドだ。真っ赤に染まった本拠地で赤く彩られた野球人生を完結させる。
◆野村 祐輔(のむら・ゆうすけ)1989年6月24日生まれ、35歳。岡山県出身。177センチ、82キロ。右投げ右打ち。投手。背番号19。広陵から明大を経て、11年度ドラフト1位で広島入団。12年4月1日・中日戦(ナゴヤドーム)でプロ初登板初先発。1年目に9勝を挙げて、新人王を獲得。16年は16勝3敗で最多勝利、勝率第1位のタイトルに輝いた。NPB通算210試合登板で80勝64敗、防御率3・53。