広島 屈辱の大失速 新井監督「この悔しさを持って残りゲームを戦いたい」本拠地マツダで胴上げ許す

 試合終了となり歓喜する巨人ナインを見つめる新井監督(右)ら広島ナイン(撮影・立川洋一郎)
 1回、ベンチから戦況を見る新井監督(撮影・西岡正)
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 「広島1-8巨人」(28日、マツダスタジアム)

 広島は1-8で巨人に完敗し、本拠地マツダで巨人の4年ぶりの優勝を許した。今月4日まで首位をキープしながら急失速は止まらず、9月は球団ワーストタイとなる月間19敗となった。新井貴浩監督(47)は「この悔しさを持って、残りゲームを戦いたい」と語った。3位以内を確保し、CSからの下克上を狙う。

 これ以上ない屈辱の光景が、マツダスタジアムに広がった。オレンジ色の人波が揺れる。目の前で敵軍の胴上げが繰り広げられた。勝者と敗者による残酷なコントラスト。球場にこだまする歓喜の声を遠くに聞きながら、新井監督が現実を受け止めた。「もちろん悔しいですし、この悔しさを持って、残りゲームを戦いたい」と言葉を絞り出した。

 チームとしての“現在地”の違いをまざまざと見せつけられた。先発・森下は同点の六回。無死一塁から岡本和に左中間を破られ、勝ち越し点を献上。続く坂本を打ち取ったが、ここで菊地原投手コーチがマウンドに向かった。治療のためベンチに戻り、すぐさま2番手・森浦にスイッチ。指揮官は「粘り強く投げていたけど、最後ちょっと指の皮がめくれたので」と降板理由を説明した。

 打線も1点を追う四回に菊池の適時打で試合を振り出しに戻したが、相手先発・菅野の前に追加点は奪えなかった。攻撃陣が沈黙を続ける中、巨人打線は終盤にかけてリードを広げる展開。相手打者が快音を響かせるたびに、スタンドからは悲鳴とため息が漏れた。

 就任2年目の船出を迎えた新井カープは開幕から順調に白星を積み上げていった。盤石の投手力と堅守を武器にロースコアの接戦をもぎ取り、9月2日時点で貯金は14もあった。同4日まで首位をキープしていたが、そこからは4度の4連敗を喫するなど急降下。歴史的な大失速で6年ぶりのリーグ優勝は霧散し、3位以内も厳しい状況まで落ち込んだ。9月は5勝19敗となり、1953年9月と1993年9月に記録した球団の月間ワースト敗戦数にも並んだ。

 最後までベンチに残り、巨人の胴上げを見つめた末包は「そういう(優勝する)権利があった。9月は自分たちが手放したので、それは経験として刻んでまた来年挑めるようにやっていきたい」と悔しさをにじませた。

 だが、下を向いている暇はない。残り5試合で3位・DeNAとは1・5ゲーム差。CS進出圏のAクラス入りへ、これ以上は負けられない。「選手も当然、悔しいと思うんでね。その悔しい気持ちを持ち続けて残り試合、そして来年に向かっていきたい」と前を向いた新井監督。CSで再び巨人と戦うため、この日味わった悔しさを忘れることなく、最後まで全力で戦い抜く。

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