5勝20敗と大失速した9月 シーズン最終盤の広島に感じた1勝の重み
広島・新井貴浩監督(47)が来季も指揮を執ることが4日、決定的となった。この日、松田元オーナー(73)が取材に応じ「当然、来季も指揮を執ってもらおうと思っている」と語った。全日程終了後、球団と話し合う。就任2年目の今季は9月の急失速が響きBクラスが確定したが、9月上旬までは首位につけていた。新井カープが来季こそ、頂点を狙う。
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印象に残った試合がある。8月7日・巨人戦。広島は七回まで0-2と負けていたが、八回に1死一、二塁から野間の適時打で1点差とした。なおも一、三塁でベンチは一走・野間に代走・羽月を送った。羽月は二盗に成功。続く小園が逆転の2点適時打。チームは引き分けだったが代走・羽月の用兵に、同点ではなくこの回で勝負を決めるという強い思いが感じられた。
9月は5勝20敗と大失速。一つの例として同4日のDeNA戦で先発したアドゥワが二回までに6失点した。だが6回を投げ切った。16日の同戦では先発した森下が二回までに6点を失うも、五回までを託した。さまざまな要素を勘案して続投を選択したとみられるが、シーズン最終盤は目の前の1勝が持つ意味合いが大きくなる。
序盤に劣勢を強いられれば、即座に反撃に転じる。それがチーム全体への“メッセージ”にもなるが、そういった場面が少なかった印象がある。「是が非でも今日の勝利を」という姿勢がもっと色濃く出ていれば、9月の星勘定は変わっていたように思えてならない。(デイリースポーツ・向亮祐)