広島・田村 体で覚える鍛錬の秋 開幕スタメンも不完全燃焼の1年「フェニックスの1カ月で挑戦」
広島・田村俊介外野手(21)が6日、打力向上へ体で覚えることを秋のテーマに掲げた。7日から始まる「みやざきフェニックス・リーグ」に参加し、実戦を重ねながら徹底的にバットを振り込む構え。新井監督は最終戦後のスピーチで「来季に向かう戦いは始まっています」と話しており、4年目の来季に向けて自分を高めていく。
順風満帆に進まなかった経験が、さらなる飛躍を後押しする。田村は今季、自己最多の37試合に出場して打率・198、0本塁打、5打点。1軍で結果を残す厳しさを体感し「終わり方は自分の中では悪くなかったけど、それまでは、めちゃめちゃしんどかったですね」と率直な心境を明かした。
5日のレギュラーシーズン最終戦に先発出場し、この日は宮崎へ移動。7日からは「みやざきフェニックス・リーグ」に臨むタフなスケジュールだが、休んでいるわけにはいかない。今月いっぱいは実戦を重ね、11月からは秋季キャンプ。「キャンプが終わるまで、しっかりバットを振りたい。それでいろいろ覚えていきたい」と打力向上に余念はない。
もがき苦しんだ日々があったからこそ、今秋は振り込みながら感覚を磨く作業を重視する。開幕スタメンを勝ち取った今季は2度の2軍降格。「たまたまできたことがあっても、やっぱり意識しないと続かないと知ることができた。自分の引き出しが増えたというのはすごく感じる」。試行錯誤を重ね、現状を打開できたことが収穫だ。
スイングに関しては、横回転の動きで体が開いてしまう傾向を踏まえて修正。「横回転の動きがダメだなと(シーズン)後半に気付いた。そこからだいぶボールの見え方も良くなってきた」と話すように、9月23日の再昇格以降は出場9試合中6試合で安打を記録。つかみかけた手応えを完全習得するためにも、反復を重ねて体に染みこませていく。
3日・ヤクルト戦では決勝適時打を放ち、守備では初回2死でサンタナの左翼線への打球をダイビングキャッチ。「思い切ってやろうという気持ちでいった結果、自信につながった」と積極性の中で得た成功体験も糧にする。
チームは4位でシーズンを終えた。5日の試合後に新井監督はファンの前で「若い選手は成長しつつあります。今シーズンは終了しましたが、来季に向かう戦いは始まっています」と強調。その言葉は若手へのメッセージでもある。
昨秋は9月に左手小指を骨折した影響で、実戦復帰が11月上旬だった。「いろんなことをフェニックスの1カ月で挑戦したい」と田村。鍛錬の秋を過ごし、主力を脅かす存在へと成長していく。