広島・岡田が現役続行を希望 2年連続戦力外も前向く「昨年よりすがすがしく、やり切った」 6選手に戦力外通告
広島は8日、岡田明丈投手(30)、戸根千明投手(31)、曽根海成内野手(29)、育成の藤井黎來投手(25)、坂田怜投手(25)、新家颯投手(21)の計6人に来季の契約を結ばないことを通達したと発表した。15年度ドラフト1位の岡田は17年に12勝を挙げるなどリーグ3連覇に貢献。近年は故障に泣かされており、現役続行を希望してチームを去る。
表情は落ち着いていた。時折はにかみながら受け答えする姿から未練は感じられなかった。育成での再契約となった昨年に続いて2年連続の戦力外通告。マツダスタジアムの外では冷たい雨が降る中、報道陣の前に立った岡田は「育成から支配下に上がれて充実した1年であったと思います。昨年よりはすがすがしいというか、すごくやり切った感覚があります」と素直な思いを吐露した。
今年の歩みに手応えがあるから前を向けた。背番号123の育成選手として迎えた9年目の今季は、春季キャンプは2軍スタートも3月のオープン戦で2試合に登板。開幕後もウエスタンで9戦連続無失点を記録するなどのアピールが実り、7月30日に支配下再昇格を果たした。
球速も全盛期に迫る150キロ超えを記録していた。ウエスタンでは28試合で1勝、防御率2・25。しかし、結果的に背番号が93に変更となった後も1軍から声がかかることはなかった。「1軍が苦しい時期に自分も調子を落としてしまった」。8月は2軍戦で失点する試合が続き、チャンスを逃してしまった。
15年度ドラフト1位でカープに入団。新人だった16年から開幕ローテ入りを果たし、4勝を挙げて25年ぶりのリーグ制覇に貢献した。翌17年には12勝をマークして連覇へと導き、「入団して1年目で優勝を経験させていただいた。なかなかできるような経験ではなくて、それを3年間できたのは今後の人生ですごく役に立つと思います」と振り返る。
18年も8勝を挙げてエース候補として将来を嘱望されながらも、20年から5年間は1軍登板なし。21年10月には右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(トミー・ジョン手術)を受けた。懸命のリハビリで「すごい苦しい時期」を乗り越えたからこそ、「1年間投げきれたのはすごい自信にはなります」という言葉が出てきた。
通算成績は71試合で24勝17敗、防御率4・36。良い時も苦しい時も声援を送ってくれたファンに対しては「たくさんの人に応援していただいて、充実した9年間だと思います」と感謝。今後については「野球は続けていけたらなと思っています」と先を見据えた。現役を引退する野村に続いて、3連覇戦士がまた一人、静かにカープを去る。
◇岡田 明丈(おかだ・あきたけ)1993年10月18日生まれ、30歳。東京都出身。184センチ、96キロ。右投げ左打ち。投手。大商大高から大商大を経て、2015年度ドラフト1位で広島入団。16年4月1日、巨人①戦で初登板初先発。翌17年には2桁勝利も20年以降は故障もあり1軍登板できず。