広島の恋心 12球団最速で明大・宗山塁のドラフト1位指名公表 くじ引きなら新井監督「信じています」

 広島は11日、マツダスタジアム内でスカウト会議を開き、24日のドラフト会議で明大の宗山塁内野手(21)を1位指名すると公表した。田村恵スカウト部長(48)は「純粋に(今年の候補選手の中で)一番高く評価した。カープとして誠意を見せる意味でも」と12球団最速で公表に至った意図を説明。競合必至のスタープレーヤーを必ず引き当てる。

 惚(ほ)れ込む逸材を絶対に逃したくない。12球団のどこよりも早い1位指名公表は、カープとしての強い恋心の表れ。約2時間のスカウト会議が終了すると、田村スカウト部長は「広島東洋カープは1位で宗山選手を指名します。純粋に今年の対象選手の中で一番高く評価しました」と表明した。

 1位指名の公表は22年・斉藤、23年・常広に続き3年連続。「決まっているものを、隠すこともない。広島東洋カープとして誠意を見せるという意味でも、この段階で発表ということになりました」。いち早く明かしたラブコールが、球団の熱意を物語っている。

 宗山は広島県三次市出身。広陵では1年夏からベンチ入りし、同年夏と2年春に甲子園出場を果たした。明大では1年春途中からレギュラーをつかみ、2年春に首位打者を獲得。ベストナインに3度輝くなど、走攻守で高水準のパフォーマンスを示し続けている。

 9月29日にはリーグ戦通算10本目の本塁打を放ち、東京六大学史上12人目となる「100安打&10本塁打以上」を達成。3月には侍ジャパントップチームに選出されるなど、アマチュア球界屈指の内野手として熱視線を浴びてきた。大学1年時から宗山を追い続けてきた担当の尾形スカウトは「全てにおいて華がある。スター選手がほしい」と絶賛。プレーのみならず、主将としてチームを鼓舞する姿勢も高く評価する。

 現状のカープに目を移せば菊池、矢野が鉄壁の二遊間を形成しており、三塁には中軸を担う小園がいる。内野陣が充実している中での指名に同部長は「もちろん全員競争になるが、その中に入っても遜色なくポジションを争える選手。将来の主軸選手になってくれる、と思っての指名となります」。将来的にチームの“顔”になれる選手と位置づけ、期待を込めた。

 昨年は楽天との競合で新井監督が常広の交渉権を獲得した。指名重複なら今年も指揮官がクジを引く見込み。田村スカウト部長は「監督が当ててくれることを信じています」と歓喜の拳を握りしめる姿を思い描いた。是が非でも迎え入れたい、近未来のスター。運命の赤い糸をたぐり寄せる。

 ◇宗山 塁(むねやま・るい)2003年2月27日生まれ。21歳。広島県三次市出身。175センチ、80キロ。右投げ左打ち。小学1年から三良坂少年野球クラブで野球を始め、中学時代は軟式の高陽スカイバンズでプレー。広陵では1年夏からベンチ入りし、同年夏と2年春に甲子園出場。明大では1年春途中からレギュラーをつかみ、2年春は首位打者。ベストナインは3度。11日時点でリーグ戦通算は80試合出場で打率.334、104安打、10本塁打、55打点。

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