九里がオリへ電撃移籍 広島11年さらばタフネス右腕 松田オーナー「新陳代謝が進む一歩に」

 びっくりだ。オリックスは12日、広島から海外FA権を行使していた九里亜蓮投手(33)と選手契約を締結することを発表した。総額6億円程度の複数年契約とみられる。メジャーへの挑戦を視野にFAを宣言していた中で、国内球団との電撃合意。広島ではファンのみならず、球団内からも驚きの声が上がった。

 世界最高峰での活躍を夢見た男は海の向こうではなく、大阪でのプレーを決断した。昼過ぎにオリックスから発表された九里と選手契約を締結する旨のリリース。広島の鈴木清明球団本部長は電撃発表に「びっくりした」と驚いた。

 右腕はこの日の午前中にマツダスタジアムを訪れ、移籍決断を球団に報告したという。鈴木本部長は「本人の権利だから」と意思を尊重。「先発ローテーションの1人としてはありがたい存在ではあったと思う」とタフガイがチームを去ることを惜しんだ。

 松田元オーナーは「常にチャレンジしたい気持ちを持っている選手。アメリカ(メジャー挑戦)はうまくいかなかったのかもしれないが、リーグが違う野球も見てみたいと言っていた」と言及。続けて「ある意味、新陳代謝が進む一歩になる可能性がある。それで頑張っていけばいいんじゃないか。そういう意味では一つ枠が空くことで、そこで競争してくれればいいなと思っている」と、若返りを図っているチームに目を向けた。

 九里は2013年度ドラフト2位で広島に入団し、11年間在籍した。先発、中継ぎを問わない投球で実績を積み上げ、21年には13勝で最多勝のタイトルを獲得。今季は自身初の開幕投手を務め、23試合に登板して7勝10敗、防御率3・21の成績を残していた。

 今年が3年契約の3年目で、シーズン終了後に海外FA権を行使。「一番レベルが高いと言われているところ。そういうところでできるチャンスがあるのなら」と、以前から興味を示していたメジャーでのプレーを視野に移籍を模索していた。

 ただ、最終的にはメジャー移籍を断念し、リーグの違うオリックスへ入団することに。広島からは「海外で挑戦することがダメだったら、ウチも手を挙げる」と宣言残留が認められていたが、右腕は新天地でのプレーを選択した。

 ケガ知らずの鉄腕の流出はチームにとって大きな痛手。しかし先発陣では常広、斉藤、玉村らが次代を担うべく成長を続けていることも事実。痛みを伴いながら、新井カープは若手育成を加速させていく。

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