現役ドラフト移籍の広島・鈴木 2巡目指名を「意気に感じて」「さまざまな場面で仕事をする」 入団会見

 現役ドラフト2巡目で日本ハムから広島に移籍した鈴木健矢投手(27)が23日、マツダスタジアムで入団会見に臨み、球界でも希少な下手投げ右腕は先発、中継ぎを問わない“何でも屋”を宣言した。同じ変則右腕のDeNA・中川颯の投球を研究した上で、球速を向上させる必要性を実感。オフは球速アップに取り組み、セ・リーグの打者陣を封じると誓った。

 期待のサブマリンは緊張した表情を携えて、北の大地からやってきた。突然の移籍に驚いたのは過去のこと。鈴木はクローゼットの奥に1本だけあった赤いネクタイを締め「日がたつにつれて実感が湧いて、カープのために頑張るぞという気持ち」と心境を明かした。

 強みは先発、中継ぎの両方をこなせる点。サイドスローでプロ入りし、22年の春季キャンプで新庄監督からアンダースロー転向を命じられた。それが奏功して23年は6勝を記録。今季の登板は8試合にとどまったが「さまざまな場面で仕事をするのが僕の仕事。1年間、1軍で両方いけるように準備したい」と“何でも屋”の襲名に腕をぶした。

 目指すは異なるリーグでのマルチな働き。その準備は着々と進められている。同じアンダースローのDeNA・中川颯がCS、日本シリーズで投げている映像に目を凝らし、抑えるためのヒントを模索した。

 その中で重要性を感じたのは直球のスピード。「(中川颯は)130キロ台中盤ぐらい出ていて差し込めていた。ある程度の球速は必要だなと。オフは球速アップを目標にやっています」と焦点を当てるべき取り組みを明確にした。現在の最速は131キロで、体幹トレーニングや下半身中心のウエートトレーニングに主眼を置いて、135キロを目指す。

 持ち球はカットボール、スライダー、カーブ、シンカー、チェンジアップ。地面すれすれから浮き上がる軌道で多彩な球種をちりばめ、ゴロアウトを奪うのが自身の得意な形。そこに球速の増した直球を加え“セ界仕様”で来季に挑んでいく。

 横手投げだった頃は「ほとんど打者を見られていない状態だった」と振り返る。それを下手投げに変えたことで、駆け引きの面白さが芽生えた。「力と力の勝負ではなくなった。打者を観察しながらタイミングをずらすことが楽しくなった」。相手打線を手玉に取っていく投球に、早くも期待は膨らむ。

 現役ドラフトでは初の2巡目指名。「2巡目指名に踏み切っていただいて、余計に必要としていただけているのかなと。すごく意気に感じている」と鈴木は鼻息を荒くした。変則右腕が広島の地で覚醒の時を迎える。

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