広島・中村奨成 猛火の決意 2年連続護摩行で精神力強化「今年こそ戦力として1年間戦っていきたい」
広島・中村奨成外野手(25)が9日、鹿児島市内の最福寺で会沢翼捕手(36)、堂林翔太内野手(33)と護摩行に臨んだ。初参加した昨年の経験は、シーズン中もプラスに働いたと実感。2年連続で精神面を鍛え、自分自身を変える荒行にする覚悟を語った。目指すは外野の定位置奪取。プロ8年目の今年こそ“脱皮”してチームの戦力になる。
至近距離で高く舞う激しい火の粉が、視界を揺らす。中村奨はまばたきを繰り返しながら、叫ぶように経を唱えた。今年も高さ3メートルの炎の前で己と向き合い、厳しい環境に身を置く。「精神的にも強くなりたいし、今年も変わりたい一心で参加させていただきました」。真っ赤に膨れた顔が過酷な鍛錬を物語った。
「しんどいことから、もう逃げたくない」という思いから昨年初めて参加。「やっぱり、しんどかった」と表情をゆがめながら約1時間半、最後まで火柱から逃げなかった。「去年あれだけ起用してもらって思うような結果を残せなかった。今年こそチームの優勝、日本一に向けて力になれるように」。“脱皮”を実現させるべく、現状打破への思いを強くした。
昨季は自己最多70打席に立つも3年連続0本塁打で打率・145、1打点。2軍では74試合で打率・278、8本塁打、32打点と成績を残す一方、1軍の舞台では悔しさが募った。3度の2軍降格を味わうも「去年はショゲるとかは全くなく、何がダメだったかを考えられた。去年、参加させてもらって、その辺りを感じられた」と護摩行を経験して臨んだ昨季の変化をプラスに捉える。
2年連続の参加となる今回は、さらなる精神力の強化を求めていく。1軍と2軍の違いについて、本人は気持ちの余裕を挙げ「2軍だと数字も出ているけど、1軍になると『打たなきゃ、打たないと2軍に落とされる』という感情が、どこかあったと思う」と自己分析した。
荒行はこの日から3日連続で実施。「そういうのを克服して精神的にもっと強い気持ちを持ってやっていけるようになれば、またちょっと変わってくるかなと思う」。激しい修行を通して、どんな舞台でもブレないメンタルを養っていく。目指すは外野の定位置奪取。主力の秋山、野間に対し「足元にも及んでいないけど、いい先輩が身近にいる。負けたくないし追い越したい」と並々ならぬ熱量を言葉に変えた。
「今年こそ戦力として1年間戦っていきたい。開幕から(試合に)出られるようにアピールしていけたら」と中村奨。もう、同じ轍(てつ)は踏まない。燃えさかる炎と闘いながら培われる屈強な精神は、殻を破ろうとする男の原動力になる。