聖域なきサバイバルレースのゴングが鳴る－。広島の１軍キャンプメンバーが３１日、陸路でキャンプ地である宮崎県日南市に入った。就任３年目となる新井貴浩監督（４８）は例年と比べての練習量増を宣言。得点力不足が課題となった野手陣は“打撃特化型”のキャンプとなることを予告した。ミーティングでは昨季の悔しさを再共有し、日本一への思いを強めた。

　暖かな日差しが日向灘に反射してバスに揺られるカープナインを照らす。長いオフを経て、いよいよ３年目の新井鯉が動き出す。今季への期待、昨季の悔しさ、さまざまな思いを抱えて日南に入った。そんな選手たちを前に新井監督は「去年９月の悔しさは忘れてないし、みんなも忘れてないと思う。その悔しさを持ち続けて優勝、日本一に向かって明日から頑張ろう」とミーティングで呼びかけた。

　この春も課題と向き合い続ける。昨季はリーグ最下位のチーム打率・２３８で貧打に苦しんだ。昨秋のキャンプでは若手がバットを振り込んでの猛練習を敢行。指揮官は今春も「引き続き、クール最終日とかじゃなしに、『連ティーはいれてくれ』と打撃コーチに言っている。やっぱり量は、昨年の春よりは間違いなく増えると思う。振って振って汗をかいていかないと覚えられないから。量は増える」と宣言した。

　新戦力も加わる春のキャンプは守備でのサインプレーのすり合わせなど、作戦面の強化も重要な練習ポイント。ただ、まず目を向けるのは攻撃力強化だ。「打撃の比重が大きくなると思う」。田村や林、内田、仲田ら成長段階の若手が多く参加する中、「得点力というのは一番しっかりやっていかないといけないところなので」と現状を見つめた。

　藤井ヘッドコーチも練習量の増加を認めた上で、「ケガとかのリスクもあると思うけど、それも言っていたらという感じ」と強調。気合あふれる選手たちの目を見て、「やらせるというよりは、彼らは自分らでやると思う」と期待を込めた。

　オフから継続的に発信してきた「横一線」から始まるサバイバルは実績のある菊池、秋山も例外ではなく、開幕投手も未定。新井監督は「昨年よりも厳しくなると思うし、シビアになると思う」と自らのスタンスを選手たちに伝えた。

　日南キャンプでは第１クールでシート打撃をメニューに入れ、第２クールの８、９日には紅白戦も行う予定。「シーズンオフ、どれぐらい自分でやってきたのかなというのをまずは見させてもらう」。厳しさも宿した指揮官の眼光はすでに鋭さが増している。