【夏の選手権100回大会企画4】岩手の高校野球
岩手県勢は、盛岡中(現盛岡一)が戦前に2度、4強入りしている。その後は8強が最高で、1973年の第55回大会の盛岡三以降は甲子園2勝も遠かった。78年から86年までの9年間は、全て1回戦敗退。苦しい時代が続いた。
低迷が続いた岩手の高校野球を、怪物・菊池雄星(西武)を擁する花巻東が変えた。
2009年春のセンバツで準優勝すると、同年夏の第91回大会で県勢90年ぶりの4強へ進出。準々決勝・明豊戦は、負傷の影響で途中交代した菊池を救う逆転勝ち。決勝進出はならなかったが、ドラマチックな展開は感動を呼んだ。
菊池と入れ替わりで、花巻東に再び怪物が入学する。大谷翔平(エンゼルス)だ。2年生だった11年夏の第93回大会に出場。3年夏は甲子園出場を逃したが、岩手大会で160キロを計時して話題となった。
花巻東は13年の第95回大会でも4強入り。近年は、17年の第99会大会で8強入りした盛岡大付とともに、岩手の高校野球をけん引する存在となっている。
岩手は2人以外にも好投手を生んでいる。福岡・欠端光則(元大洋)は80年の第62回大会で、古豪を19年ぶりの甲子園へ導いた。初戦で敗退したが、豪腕として名をはせた。
盛岡大付・松本裕樹も14年の第96回大会2回戦で、優勝候補だった東海大相模に4-3で完投勝利を挙げ、注目を浴びた。岩手が生み出す才能豊かな人材が近い将来、歓喜をもたらすかもしれない。
岩手県勢は悲運な展開で聖地を去るケースがあった。
93年の第75回大会2回戦。久慈商が川上憲伸(元中日)を擁する徳島商と対戦した。7回終了時点で7-0とリードしながら、8回に一挙7点を奪われて、9回にサヨナラ負け。同点を許した8回の守備では、左翼手が雨に濡れた芝生に足を滑らせる不運もあった。
88年は高田が八回裏2死で降雨コールドで敗戦。32年の第18回大会の早実-秋田中(現秋田)戦以来、56年ぶりの降雨コールドだった。
また、84年の第66回大会は大船渡が初出場。同年センバツでは4強へ進出しており、大きな注目を集めていた。しかし、15安打を放ちながら3点しか奪えず、長浜に敗れた。
◆岩手県勢の夏の甲子園アラカルト
【出場回数ベスト5】
1位・盛岡大付10回
1位・福岡10回
3位・盛岡一9回
4位・花巻東8回
5位・一関学院6回
【勝利数ベスト5】
1位・花巻東10勝
2位・盛岡一7勝
3位・盛岡大付6勝
4位・福岡4勝
5位・一関学院3勝
【最高成績】
ベスト4・盛岡一(2回=1917、1919年)、花巻東(2回=2009年、2013年)
【通算成績】
115試合
39勝75敗1分
勝率・342
【主な監督】
佐々木洋…花巻東監督。2001年から監督を務めて春3回、夏6回の甲子園に出場して通算15勝9敗。09年春は準優勝、09年夏と13年夏は4強へ導いた。菊池雄星、大谷翔平を育てたことでも知られる。
関口清治…現盛岡大付監督。2008年秋から監督に就任し、春3回、夏4回の甲子園に出場。打ち勝つチームを作り挙げ、17年は春夏連続で8強進出を果たした。
◆デイリー独断!岩手県の高校を卒業した選手のベストナイン
【先発】花巻東・菊池雄星(西武)
【中継ぎ】盛岡大付・松本裕樹(ソフトバンク)
【抑え】福岡・欠端光則(元大洋)
【捕手】盛岡商・猪久保吾一(元ロッテ)
【一塁手】専大北上・畠山和洋(ヤクルト)
【二塁手】福岡・白坂長栄(元阪神)
【三塁手】盛岡中央・銀次(楽天)
【遊撃手】一関第一・阿部寿樹(中日)
【外野手】花巻東・大谷翔平(エンゼルス)、花巻東・阿部成宏(元近鉄)、福岡・小田野柏(元ロッテ)
【指名打者】専大北上・梶本勇介(元オリックス)
(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)