【選手権100回大会企画11】埼玉の高校野球

 埼玉県勢は甲子園で何度も上位に進出してきた。特徴的なのは、1985年の第67回大会で立教(現立教新座)が出場するまで、代表26校が全て公立校だったことだ。

 51年の第33回大会は熊谷が準優勝。57年の第39回では大宮、73年の第55回大会では川越工が4強へ進出した。

 その後、上尾が全国の注目を集める活躍を見せた。2度目の出場となった75年の第57回大会だった。

 野本喜一郎監督が率いる無名の県立校が、準々決勝で原辰徳(元巨人)を擁する優勝候補・東海大相模(神奈川)に8回に逆転勝ち。エース・今太が4試合連続完投で4強へ進出した。

 79年の第61回大会1回戦は、牛島和彦(元中日など)-香川伸行(元ダイエー)のバッテリーを擁する浪商(現大体大浪商)と激闘を展開した。

 エース・仁村徹(元中日など)が好投を続けたが、2点リードの9回1死で3番・香川に中前打を許した後、2死後に5番・牛島に同点2ランを被弾。と延長11回に屈したが、球史に残る試合で聖地を沸かせた。

 しかし、上尾の野本監督が84年4月から浦和学院の監督に就任すると、公立から私学が中心の時代となる。

 浦和学院は86年の第68回大会で初出場。甲子園の開会式当日に野本監督が亡くなるアクシデントがあったが、鈴木健(元ヤクルト)を中心に快進撃を見せ、指揮官を弔う4強進出となった。

 93年の第75回大会では、春日部共栄が2年生左腕・土肥義弘(元西武など)が、4試合連続完投勝利で決勝へ進出。決勝・育英戦も力投を続け、8回に決勝点を奪われて2-3で惜敗した。

 埼玉県勢は、2016年の第98回大会まで準優勝2回、4強が5回。代表校は甲子園でもレベルの高さを示してきた。

 そして、17年の第99回大会で念願がかなう。花咲徳栄が県勢として初めて夏の甲子園を制覇。西川愛也(西武)、野村佑希外野手(現3年)を中心とした打線は、全6試合で2桁安打9得点以上を記録。綱脇彗投手と清水達也投手(中日)のリレーで頂点まで駆け上がった。

 ◆埼玉県勢の夏の甲子園アラカルト

【出場回数ベスト5】

1位・浦和学院12回

2位・花咲徳栄5回

2位・春日部共栄5回

2位・大宮5回

2位・熊谷商5回

【勝利数ベスト5】

1位・花咲徳栄11勝

2位・浦和学院10勝

3位・春日部共栄7勝

4位・大宮6勝

4位・熊谷商6勝

【最高成績】

優勝・花咲徳栄(2017年)

【通算成績】

127試合

67勝60敗

勝率・528

【主な監督】

 野本喜一郎…上尾、浦和学院の元監督。上尾では春夏通算6回の甲子園で6勝を挙げ、県立校を全国区へ押し上げた。1984年4月から浦和学院の監督に就任し、1986年の第68回大会で初出場するが、開会式当日に亡くなった。

 森士…浦和学院監督。1991年8月に就任すると、翌92年のセンバツに出場し、いきなり4強進出。

 本多利治…春日部共栄監督。1980年の開校と同時に赴任して、監督に就任。91年春に同校初の甲子園に出場へ導くと、93年の第75回大会では埼玉県勢42年ぶり2度目の決勝へ導き、準優勝した。

 ◆デイリー独断!埼玉県の高校を卒業した選手のベストナイン

【先発】市立川口・斎藤雅樹(元巨人)

【中継ぎ】浦和学院・木塚敦志(元横浜)

【抑え】滑川(現滑川総合)・久保田智之(元阪神)

【捕手】大宮東・北川博敏(元オリックス)

【一塁手】浦和学院・鈴木健(元ヤクルト)

【二塁手】上尾・山崎裕之(元西武)

【三塁手】飯能・松原誠(元巨人)

【遊撃手】聖望学園・鳥谷敬(阪神)

【外野手】浦和学院・清水隆行(元西武)、春日部共栄・平塚克洋(元西武)、埼玉栄・大島裕行(元西武)

【指名打者】

上尾・仁村徹(元ロッテ)

(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)

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