【選手権100回大会企画22】愛知の高校野球
全国屈指の激戦区・愛知県は、中京大中京、東邦、享栄、愛工大名電の「私学4強」が中心となってきた。その中でも全国1位の7回の優勝を誇る名門・中京大中京が、突出した成績を残している。
出場28回は同県トップで、全国5位タイ。通算78勝は、2位・松山商の60勝を大きく引き離して全国1位だ。
校名が中京商だった1913年の第17回大会で初出場初優勝。この大会から、大会唯一の3連覇を果たした。
3連覇を達成した33年の第19回大会は、準決勝で明石中と史上最長の延長25回、4時間55分の激闘の末にサヨナラ勝ち。翌日の決勝で平安中も下し、前人未到の快挙を成し遂げた。
4回目の出場となった37年の第23回大会でも優勝。戦前に出場した選手権大会は全て優勝している。
6回目の優勝は、史上2校目の春夏連覇だった。66年の第48回大会で、エース・加藤英夫投手(元近鉄)が、中心となって快挙を達成した。
2009年の第91回大会は、決勝・日本文理戦で6点リードの9回2死から1点差に詰め寄られたが、逃げ切って7回目のV。エース・堂林翔太(広島)がインタビューで涙する姿が印象的だった。
優勝は逃したが、1983年の第65回大会ではエース・野中徹博(元ヤクルトなど)が活躍。事実上の決勝と言われた準々決勝・池田戦は水野雄仁(元巨人)と投げ合い、攻守交代時のキャッチボールが印象的だった。
中京大中京と並び、センバツでは全国1位の4回の優勝を誇る東邦は、77年の第59回大会で初めて決勝へ進出した。
東洋大姫路との決勝は、バンビこと1年生エース・坂本佳一投手が、1-1の延長10回に、決勝では大会史上初のサヨナラ本塁打を浴びて敗れた。
2016年の第98回大会では2回戦・八戸学院光星戦で7点差を逆転。球場全体が手拍子する後押しを受け、劇的な勝利を飾った。頂点には立てていないが、記憶に残る戦いを見せている。
享栄は1986年の第68回大会で、近藤真一(元中日)が快投を見せた。3回戦・高知商戦では岡林洋一(元ヤクルト)と投手戦を演じ、被安打5ながらラッキーゾーンへの決勝弾で聖地を去った。
名古屋電気(現愛工大名電)は81年の第63回大会2回戦・長崎西戦で、工藤公康(元西武など)が金属バット導入後、初のノーヒットノーランを達成。大リーグで活躍するイチロー(マリナーズ)や山崎武司(元中日など)ら球史に名を残す選手を多数、輩出している。
また、愛知県勢では、中京大中京よりも先に全国制覇を果たした高校がある。1917年の第3回大会。愛知一中(旭丘)が1回戦で敗れたが、敗者復活戦から勝ち上がって優勝。第2回大会に続いて採用された敗者復活戦だったが、この大会をもって廃止となっている。
◆愛知県勢の夏の甲子園アラカルト
【出場回数ベスト5】
1位・中京大中京28回
2位・東邦17回
3位・愛工大名電11回
4位・愛知商8回
4位・享栄8回
4位・旭丘8回回
【勝利数ベスト5】
1位・中京大中京78勝
2位・東邦19勝
3位・愛知商7勝
4位・享栄6勝
5位・旭丘5勝
5位・豊田大谷5勝
【最高成績】優勝・中京大中京(7回=1931年、1932年、1933年、1937年、1954年、1966年、2009年)、旭丘(1917年)
【通算成績】
217試合
129勝88敗
勝率・594
【主な監督】
深谷弘次…中京商、三重の元監督。両校で春夏通算14回の甲子園へ出場し、優勝3回(春2回、夏1回)。
杉浦藤文…中京の元監督。春夏通算13回の甲子園に出場し、66年に春夏連覇を達成。通算29勝。
阪口慶三…東邦の元監督で、現在は大垣日大監督。両校で春夏通算31回出場して、同通算37勝。東邦では89年センバツで優勝。
中村豪…愛工大名電の元監督。春夏通算5回の甲子園に出場し、イチローの恩師としても知られる。
大藤敏行…中京大中京の元監督。春夏通算9回の甲子園で通算19勝8敗。1997年春は準V、2009年夏は優勝。
◆デイリー独断!愛知の高校を卒業したプロ野球選手ベストナイン
【先発】挙母(現豊田西)・杉浦忠(元南海)
【中継ぎ】常滑北・浅尾拓也(中日)
【抑え】西尾東・岩瀬仁紀(中日)
【捕手】中京商・木俣達彦(元中日)
【一塁手】中京大中京・稲葉篤紀(元日本ハム)
【二塁手】享栄・高木浩之(元西武)
【三塁手】享栄・藤王康晴(元日本ハム)
【遊撃手】愛工大名電・堂上直倫(中日)
【外野手】起工・山内一弘(元広島)、愛工大名電・イチロー(マリナーズ)、大府・赤星憲広(元阪神)
【指名打者】愛工大名電・山崎武司(元中日)
(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)