【選手権100回大会企画29】奈良の高校野球
奈良県の高校野球は、天理と智弁学園がけん引してきた。1972年以降の43年間で2校以外が、夏の甲子園に出場したのは郡山(74年、93年、2000年)と桜井(13年)の4度しかない。さらに75~92年の18年間は“2強”のどちらが出場している。
両校の実績では、天理が一歩リードしている。春夏通算3度の甲子園優勝を果たし、出場回数も上回る。特に80年代後半から90年代序盤までは黄金時代だった。3年連続出場が2度、2度の夏の全国制覇を果たしている。
初優勝は1986年の第68回大会。奈良県勢として初の決勝へ進出。主将・中村良二(元近鉄など)=現天理監督=を中心として頂点に立った。
90年の第72回大会は、188センチの長身エース・南竜次(元日本ハム)が決勝で沖縄水産を1-0で完封。2度目の全国制覇を成し遂げた。
智弁学園は創部1908年の天理に対して、65年創部。歴史は浅いが、72年から高嶋仁監督(現智弁和歌山監督)の指導などもあって、着実に力をつけていった。
77年はセンバツで4強に進出。同年の第59回大会では、1回戦で小松辰雄(元中日)がエースで、優勝候補の星稜(石川)と対戦。エース・山口哲治(元近鉄など)が、豪腕に投げ勝って3回戦まで進んだ。
95年の第77回大会では4強に進出。2016年センバツで春夏通じて初の甲子園優勝も果たした。
郡山は2校に次いで力を見せている。郡山中時代の1933年の第19回大会で、奈良県勢として夏の甲子園に初出場した。
また、1970年から2012年まで、天理と智弁学園以外で出場したのは郡山だけ。1971年の第53回大会は1回戦でPL学園を破り、準々決勝では銚子商に九回サヨナラ勝ち。同校最高成績となる4強へ進んでいる。
高田商は1963年の第45回大会で8強へ進んでいる。2017年センバツで23年ぶりに甲子園出場を果たしており、今年は55年ぶりの夏の聖地を狙う。
2013年の第95回大会では桜井が初出場した。奈良代表が天理、智弁学園、郡山以外となるのは、1969年の第51回大会の御所工以来44年ぶりだった。1回戦で作新学院に5-17で敗れたが、試合後にベンチ前で座礼し、ファンを驚かせた。
奈良県勢は、2017年の第99回大会で天理が県勢22年ぶりの4強へ進んだ。今夏は1990年の第72回大会で優勝した天理以来の悲願達成が期待される。
◆奈良県勢の夏の甲子園アラカルト
【出場回数ベスト5】
1位・天理28回
2位・智弁学園18回
3位・郡山6回
4位・御所実4回
5位・高田商、桜井1回
【勝利数ベスト5】
1位・天理48勝
2位・智弁学園21勝
3位・郡山8勝
4位・高田商3勝
5位・御所実1勝
【最高成績】
優勝・天理(2回=1986年、1990年)
【通算成績】
137試合
81勝56敗
勝率・591
【主な監督】
橋本武徳…天理の元監督。春夏通算11度の甲子園へ出場し、20勝9敗。86年夏と90年夏の2度、全国制覇を果たした。
森川芳夫…天理の元監督。春夏通算15回の甲子園に出場して3回、8強へ進んでいる。
上村恭生…智弁学園の元監督。春夏通算8回の甲子園に導き、95年の第77回大会で4強へ進んだ。
小坂将商…智弁学園監督。春夏通算10回の甲子園に出場し、通算15勝9敗。2016年センバツでは同校を春夏通じて初の甲子園優勝へ導いた。
◆デイリー独断!奈良の高校を卒業したプロ野球選手ベストナイン
【先発】高田商・三浦大輔(DeNA)
【中継ぎ】奈良大付・歌藤達夫(元巨人)
【抑え】奈良商工(現奈良朱雀)森中千香良(元大洋)
【捕手】智弁学園・岡崎太一(阪神)
【一塁手】桜井商・駒田徳広(元横浜)
【二塁手】天理・関本賢太郎(元阪神)
【三塁手】天理・藤本博史(元オリックス)
【遊撃手】智弁学園・高代延博(元広島)
【外野手】御所工・東田正義(元阪神)、天理・門田博光(元ダイエー)、郡山・荻野貴司(ロッテ)
【指名打者】天理・中村良二(元阪神)
(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)