【選手権100回大会企画32】島根の高校野球

 島根県勢は、第1回大会から皆勤を続ける杵築中(現大社)が、1917年の第3回大会で初の4強入りを果たしている。23年の第9回大会では、松江中(現松江北)も4強へ進んだ。

 その後は4強が壁となった。83年からは代表校が5年連続で初戦敗退。しかし、88年の第70回大会で、江の川(現石見智翠館)が島根県を盛り上げる活躍を見せた。

 島根大会の全5試合で計7本塁打を放った主砲・谷繁元信(元中日)を擁し、2年連続の甲子園に出場した。

 3回戦・天理戦は1点を追う八回1死から、谷繁の左前打をきっかけに逆転。安東博史投手が完投して、県勢42年ぶりの8強へ進出した。

 4強を狙った準々決勝は、前田幸長投手(元巨人など)を擁する福岡第一に敗れたが、島根県を盛り上げた。

 県勢はこれで勢いづいたと思われたが、その後は再び低迷。89年から代表校が9年連続で初戦敗退してしまう。

 浜田のエース・和田毅(ソフトバンク)が悪い流れを断った。和田は2年だった97年の第79回大会に出場。1回戦で、秋田・石川雅規(ヤクルト)と投げ合い、1点リードの九回から3連打などで同点とされ、押し出し四球でサヨナラ負けしていた。

 1年後の98年の第80回大会で悔しさを晴らす。初戦の2回戦・新発田農戦は2失点で完投勝利。3回戦でも森本稀哲(元日本ハムなど)を擁する帝京打線を2失点で完投し、県勢10年ぶりの8強入りを果たした。準々決勝・豊田大谷戦は延長10回にサヨナラ負けしたが、細身な左腕の好投は感動を呼んだ。

 2003年の第85回大会では江の川が、県勢80年ぶりの4強へ進んだ。技巧派左腕・木野下優が、初戦から2試合連続完封。準々決勝では聖望学園に九回サヨナラ勝ちした。準決勝でダルビッシュ有(カブス)を擁する東北に敗れ、県勢初の決勝進出は逃した。

 島根県では近年は開星、立正大淞南などの活躍も目立つ。開星は夏の甲子園に通算10回出場して2勝止まりだが、印象的な試合を見せている。

 10年の第92回大会は、1回戦・仙台育英戦で九回2死まで1点リード。“ジャイアン”と呼ばれた2年生エース・白根尚貴(DeNA)は、2死満塁で中堅への飛球へ打ち取った。しかし、これを中堅手が落球して勝ち越しを許す。

 さらに直後の九回2死一、二塁は糸原健斗(阪神)が左中間へ大飛球を放つが、左翼手がダイビングキャッチ。九回は対照的な攻防となって敗れた。

 白根は翌11年の第93回大会にも出場し、1回戦では柳井学園を3安打で完封した。2回戦で同大会を制する日大三との熱戦を展開し、8-11で惜敗したが強烈なインパクトを残して聖地を去った。

 島根県勢は最近5年は全て初戦敗退。流れを変える高校の出現が期待されている。

 ◆島根県勢の夏の甲子園アラカルト

【出場回数ベスト5】

1位・浜田11回

2位・開星10回

3位・石見智翠館9回

4位・大社8回

5位・松江商、大田、益田東3回

【勝利数ベスト5】

1位・浜田7勝

2位・石見智翠館5勝

3位・大社4勝

4位・松江北、立正大淞南3勝

【最高成績】

4強・大社(1917年)、松江北(1923年)、石見智翠館(2003年)

【通算成績】

90試合

29勝61敗

勝率・322

【主な監督】

 新田均…浜田、大社の監督として春夏合わせて9度の甲子園に出場。1998年の第80回大会では、浜田を8強へ導いた。

 野々村直道…元開星監督。1988年創部から指揮を執り、創部6年目の93年の第75回大会で初の甲子園へ導いた。2011年に監督を退任。春夏通算10度の甲子園で通算3勝10敗。

 ◆デイリー独断!島根県の高校を卒業した選手のベストナイン

【先発】浜田・和田毅(ソフトバンク)

【中継ぎ】浜田商・佐々岡真司(元広島)

【抑え】出雲商・大野豊(元広島)

【捕手】江の川(現石見智翠館)・谷繁元信(元中日)

【一塁手】開星・白根尚貴(DeNA)

【二塁手】開星・糸原健斗(阪神)

【三塁手】大社・石橋貢(元ヤクルト)

【遊撃手】開星・梶谷隆幸(DeNA)

【外野手】大社・伊藤光四郎(元西鉄)、大社・石橋貢(元ヤクルト)、浜田・清水雅治(元西武)

【指名打者】浜田・梨田昌孝(元近鉄)

(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)

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