【選手権100回大会企画36】香川の高校野球
香川県の高校野球は戦前から、華やかな時代が続いた。
代表格の高松商は、1925年の第11回大会で四国勢として初優勝。27年の第13回大会でも優勝した。のちにプロで監督としても実績を残す水原茂(元巨人)が中心だった。
高松中(現高松)は、のちに西鉄などの監督として活躍する三原脩(元巨人)を擁して、28年の第14回大会で4強入りした。
高松一も“怪童”と呼ばれた中西太(元西鉄)が主砲として活躍。49年の第31回大会、51年の第33回大会で4強へ進んだ。プロ球界に功績を残した監督、選手を輩出してきた。
しかし、高松商は76年の第58回大会から、5大会連続で代表となったが、全て初戦敗退。78年の第60回大会は、エース・河地良一が0-0の延長十七回に押し出し死球で敗れた。その後は徐々に衰退し、他校が台頭し始める。
志度商(現志度)は、81年の第63回大会で同校2度目の8強へ進出した。エース・白井宏範が、3試合28回を2失点の好投。4試合目の登板となった準々決勝・名古屋電気(現愛工大名電)で、工藤公康(元西武など)に投げ負けて力尽きた。
90年の第72回大会では、県内屈指の進学校・丸亀が8強入り。3回戦・平安(現龍谷大平安)戦は、エース・福家武が延長14回を1人で投げ抜いて強豪を完封した。
80年中盤からは県外の有望選手を中心とした尽誠学園が台頭した。
86年の第68回大会は、2年生エース・伊良部秀輝(元阪神など)の活躍で初出場。翌87年の第69回大会も伊良部と佐伯貴弘(元横浜)が中心となり、初勝利を挙げた。
89年の第71回大会は、エース・宮地克彦(元西武など)、谷佳知(元オリックスなど)の活躍で4強入り。宮地は準決勝・仙台育英戦で、大越基(元ダイエー)と投げ合ったが延長10回、2-3で惜敗した。
92年の第74回大会は、1回戦で同年センバツV・帝京と対戦。エース・渡辺隆文が4安打で完封して、1-0で勝利。金星で勢いに乗り、2度目の4強まで進んだ。
純白のユニホームで注目を浴びた観音寺中央(現観音寺総合)は、95年センバツで初出場初優勝。同年の第77回大会にも出場したが、2回戦で日大藤沢に延長十一回にサヨナラ負けして、春夏連覇を逃した。
かつては野球王国として知られた香川県だが、近年は野球が盛んな四国4県の中で後れを取っている。
県勢の決勝進出は、55年の第37回大会の坂出商以降、60年以上も遠ざかっている。2017年の第99回大会で、三本松が準々決勝進出したのも、県勢15年ぶりの8強だった。
高松商は16年センバツで準優勝するなど、復活への兆しを見せたが、最近30年間で夏の甲子園出場は、1996年の第78回大会の1回のみだ。
香川県は近年、強豪校を県内に呼び、招待試合を開催するなど強化に取り組んでいる。野球王国再興が期待されている。
◆香川県勢の夏の甲子園アラカルト
【出場回数ベスト5】
1位・高松商19回
2位・尽誠学園11回
3位・坂出商8回
4位・高松、丸亀、四国学院大香川西、丸亀城西4回
【勝利数ベスト5】
1位・高松商22勝
2位・尽誠学園13勝
3位・坂出商8勝
4位・高松一7勝
5位・高松、志度5勝
【最高成績】
優勝・高松商(2回=1925、1927年)
【通算成績】
133試合
67勝66敗
勝率・504
【主な監督】
久保政道…高松商の元監督。春夏通算10回の甲子園に出場。70年の第52回大会で4強。
橋野淳…丸亀商(現丸亀城西)、観音寺中央の元監督。両校で春夏通算10回の甲子園で通算11勝10敗。95年センバツで観音寺中央を初出場初優勝へ導いた。
大河賢二郎…尽誠学園の元監督。春夏通算8回の甲子園に出場し、夏は2度の4強へ進んだ。
◆デイリー独断!香川の高校を卒業したプロ野球選手ベストナイン
【先発】尽誠学園・伊良部秀輝(元阪神)
【中継ぎ】高松商・松永昂大(ロッテ)
【抑え】観音寺一・三瀬幸司(元中日)
【捕手】高松商・岡村浩二(元日本ハム)
【一塁手】高松一・中西太(元西鉄)
【二塁手】尽誠学園・田中浩康(DeNA)
【三塁手】高松一・近藤昭仁(元大洋)
【遊撃手】志度商・白井一幸(元オリックス)
【外野手】志度商・熊野輝光(元オリックス)、尽誠学園・佐伯貴弘(元中日)、尽誠学園・谷佳知(元オリックス)
【指名打者】尽誠学園・宮地克彦(元ソフトバンク)
(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)