【選手権100回大会企画41】佐賀の高校野球
佐賀県勢は過去8強以上に4回進出した。そのうち優勝が2回もある。
佐賀商が1994年の第76回大会で、春夏通じて県勢初の甲子園優勝を成し遂げた。
3回戦は那覇商に終盤に逆転勝ち。準々決勝・佐久(現佐久長聖)戦では、2点を追う九回に3安打で同点に追い付き、3番・山口法弘がサヨナラ打を放った。
九州勢対決となった樟南との決勝は、同点の九回に2番・西原正勝が、決勝では史上初の満塁本塁打。エース・峯謙介は全6試合を1人で投げ抜いた。
初の悲願から13年後。佐賀北が2007年の第89回大会で“がばい旋風”を巻き起こし、県勢2度目の頂点に立った。
2回戦では中井大介(巨人)を擁する宇治山田商と、延長15回引き分けとなり、再試合で勝利。準々決勝・帝京戦も延長十三回にサヨナラ勝ちした。
劇的な展開で勝ち上がると、決勝・広陵戦も奇跡的なフィナーレを飾った。
4点を追う八回に1点を返して、なお1死満塁。副島浩史が野村祐輔(広島)から逆転満塁本塁打を放ち、全国制覇を果たした。
この2大会以外でも、佐賀県勢は甲子園でも数々のドラマを演じてきた。
佐賀学園は91年の第73回大会2回戦で、前年王者の天理と対戦。若林隆信が決勝3ランを放って1失点で完投。谷口功一(元巨人など)を擁する強豪を3-1で下した。
98年の第80回大会2回戦は、2年生スラッガー大島裕行(元西武)を擁する埼玉栄と対戦。4番・実松一成(日本ハム)が適時打を含む2安打で勝利へ導いた。
鳥栖商は10年ぶり2度目の出場となった03年の第85回大会で、8強へ進出。2回戦では堂上剛裕(元巨人など)を擁する愛工大名電を2-1で下したが、準々決勝で同大会を制する常総学院に敗れた。
佐賀県が生んだ豪腕も甲子園で活躍している。
1982年の第64回大会では、佐賀商・新谷博(元西武など)が、1回戦・木造戦でノーヒットノーランを達成。大会史上初の完全試合が目前だった九回2死で死球を与え、大記録を逃している。
87年の第69回大会では、佐賀工・江口孝義(元ダイエー)が大会屈指の右腕として注目を集めた。2回戦では久慈照嘉(元阪神など)が4番に座る東海大甲府に、1失点で完投勝利を挙げた。
11年の第93回大会では唐津商の右腕・北方悠誠(元DeNAなど)が、27年ぶりの甲子園へ導いた。
北方は1回戦では古川工から13三振を奪って勝利。2回戦では作新学院に敗れたが、最速153キロを記録して10三振を奪い、注目を集めた。
甲子園で数々のドラマを見せてきた佐賀県勢は、07年に佐賀北が優勝してから、08年以降の10年間は3回戦が最高成績。2014年の第96回大会からは、4年連続で代表校が初戦敗退している。
◆佐賀県勢の夏の甲子園アラカルト
【出場回数ベスト5】
1位・佐賀商15回
2位・佐賀西7回
3位・佐賀学園6回
4位・唐津商5回
5位・佐賀北4回
【勝利数ベスト5】
1位・佐賀商13勝
2位・佐賀学園6勝
2位・佐賀北6勝
4位・鹿島3勝
5位・鳥栖商2、佐賀工、唐津商2勝
【最高成績】
優勝・佐賀商(1994年)、佐賀北(2007年)
【通算成績】
96試合
38勝57敗1分
勝率・400
【主な監督】
田中公士…佐賀商の元監督。春夏通算5回の甲子園に出場し、94年の第76回大会で県勢初の優勝を果たした。
百崎敏克…神埼、佐賀北の元監督。両校で春夏通算5回の甲子園に出場し、佐賀北では07年の第89回大会で優勝へ導いた。
◆デイリー独断!佐賀県の高校を卒業した選手のベストナイン
【先発】鳥栖・権藤博(中日)
【中継ぎ】唐津商・藤井将雄(元ダイエー)
【抑え】龍谷・河野昌人(元ダイエー)
【捕手】佐賀学園・実松一成(日本ハム)
【一塁手】佐賀北・岸川勝也(元横浜)
【二塁手】佐賀東・辻発彦(元ヤクルト)
【三塁手】厳木・宮崎敏郎(DeNA)
【遊撃手】佐賀西・永尾泰憲(元阪神)
【外野手】多久工・加藤博一(元横浜)、鳥栖・緒方孝市(元広島)、杵島商・福地寿樹(元ヤクルト)
【指名打者】佐賀・永淵洋三(元日本ハム)
(ポジションはプロでの登録守備位置、所属は現役の最終所属)