かみじょうたけし、高校野球にハマったきっかけ
デイリースポーツ読者の皆様、初めまして。かみじょうたけしです!
これからホームページ上で、僕が大好きな高校野球に関するコラムを書かせていただくことになりました。よろしくお願いします!
さっそくですが、第1回は僕がこんなにも高校野球が好きになった理由についてお話しますね。
1989年夏、地元・淡路島の津名高校が兵庫大会ベスト4まで勝ち進んでいた。
あと2つ勝てば、近所のお兄ちゃん達が、いつもテレビで観ているあの甲子園に出場できるのかと思うと、いてもたってもいられなくなり、父に頼んで明石球場(現・明石トーカロ球場)に連れていってもらった。
これが僕が高校野球にどっぷりハマるきっかけになるとは、この時はまだ知らない。
富島港から高速艇に乗り、明石港に着くと、はやる気持ちをおさえられなかったのか、走らないまでも常にオヤジの5メートルは前を歩いていたのを今でも覚えている。
15分くらいは歩いただろうか。球場に到着した父と僕は入場口を探していた。
その時である。
「バチーン!」
聞いた事のない大きなミットの音が聞こえてきた。
ふと足元をみると地下にブルペンがあって、津名高校のピッチャーが投げこんでいるではないか。
「がんばれー!」
一言声をかけようとしたが僕はすぐにやめた。なぜならば普段、地元の駄菓子屋で見せてくれる笑顔はそこにはなく、鬼気迫るその表情に恐怖すら感じたからだ。
それは甲子園を本気で獲りにいく男の顔だった。
「かっこいいなぁ」
一気に気持ちを持っていかれた僕は、しばらくそこから動けなかった。
そして肝心の試合はというと、相手ピッチャーの球がべらぼうに速かった事、津名の一番バッター伊藤君が二年生ながら走攻守三拍子そろった素晴らしい選手だった事、1-3で神戸弘陵に惜しくも敗れた事、それ以外の記憶があまりないのだ。
しかしながら、あの試合前のブルペンでのピッチャーの表情、キャッチャーミットの音、その時、聴こえたセミの鳴き声は昨日の事のように覚えている。
僕の高校野球魂に火をつけたのはきっとあの瞬間だったのかもしれない。
第99回大会が間もなく開幕する。
球児達が魅せてくれる表情の一つ一つが、少年達の大切な記憶の一つ一つになって行くと思うと、 その瞬間、瞬間がかけがえのない時間なのである。
大人になった今では、グラウンドの球児だけでなく、スタンドで太鼓のバチを握る3年生や怪我でサポートにまわった選手、はたまたそれを見守る保護者の皆さんの表情にあの時に似た感情を抱くようになってきた。
試合内容ももちろん大切であるが、そういった瞬間に一つでも多く出会い、今大会が特別な大会になる方が一人でも増えることを祈りつつ、自分もその一人になりたいと思っています。
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かみじょうたけし(本名・上条剛志)1977年12月31日生まれ。兵庫県淡路島出身。龍谷大卒。血液型A型。身長170cm、体重50kg。高校野球大好き芸人として知られる。趣味・特技は競輪予想、モノマネ。