09年夏の準V右腕は今…かみじょうたけし流「社会人野球日本選手権」の楽しみ方
毎年この時季になると京セラドーム大阪が熱くなる。オリックスの試合でもなければ、スノーボードの超アウトレットバーゲンでもない。社会人野球日本選手権大会である。
その名のとおり、その年の社会人ナンバーワンチームを決める大会なのだが、様々な楽しみ方が出来る。
例えば各チームの応援を観るのもいい。JR四国は車掌さんのコスチュームで応援していたり、東京ガスの東京音頭もヤクルトの傘ではなくハッピ姿のチアリーダーさん達がうちわを使って踊りまくる。今年はなかったが、三菱重工広島のスタンドにどデカい宮島の鳥居が現れた年もあった。
さらに地元パナソニックや大阪ガスなどの応援ともなると、超満員。「こないにお客さん入るなら来年は大阪ガスと合同チームでいこうやぁ」。オリックスファンの野次ならぬ、嘆きももはや大会の風物詩である。
そして開催されたばかりのドラフト会議で指名された選手を実際ナマでチェックできる所も醍醐味の一つだろう。
今年で言えば、オリックスからドラフト1位指名されたJR東日本・田嶋大樹投手とヤクルト2位指名の三菱重工広島・大下佑馬投手の投げ合いは見応えがあり、僕の後ろの席からも「田嶋は点は取られたが俺の評価は下がらない」とか「大下がこんなにいいとは!ヤクルトの岡林スカウトにやられた」やら、まるでどっかの球団スカウト同士の会話のような野球好きのオッサンの会話が聞こえてくる。
様々な角度から楽しめる社会人野球日本選手権大会なのだが、先日こんな出来事があった。
気の合う野球仲間4、5人で売店から席に戻ろうとしていると後ろから声をかけられた。
「かみじょうさん、こんにちは!」。
振り返って、顔を見た瞬間、身体が動かなくなった。そして、初対面にも関わらず、すぐに彼が誰なのかがわかった。
「伊藤くん!!」
そう、8年前の2009年夏の甲子園決勝戦、中京大中京との死闘を演じた日本文理のエース伊藤直輝投手だった。10-4の6点差で迎えた9回2死走者なしから、中京大中京を1点差まで追い詰めた高校野球史に残る名勝負である。「アメトーーク!」や雑誌の取材など、高校野球史上最高の試合を挙げてくれとの企画では、必ずこの試合の話をするくらい僕にとっては特別な試合で特別な選手だった。
当時アルバイトしていた飲み屋に、偶然お客さんで来てた彼の父親と2009年春に出会い、その年の春夏と一緒に彼の応援をさせてもらった。結局、本人と直接会う事はなく8年が経ったのだが、ヤマハのピッチャーとして野球を続けてくれていたからこそ出会えたのだ。
4、5分のたわいもない会話だったが、その時見せてくれた笑顔は2009年の決勝戦の後のそれと全く一緒だった。新潟県の野球を変えたといわれる日本文理・大井道夫監督が勇退した年に、やっと出会えた奇跡。そして伊藤選手と出会ったほぼ同時刻に僕の携帯には、マネジャーから年末に新潟での高校野球関連のお仕事が入ってきたとの連絡。つくづく縁があるのだなぁと。
ドラフト指名された、ほぼプロ野球選手を観るのもいいが、こういった高校時代からの成長した姿を垣間見ることができるのもこの大会の魅力だろう。
がんばれ伊藤直輝!!