敗れた智弁学園にあった、報われた思いとは

 健大高崎戦9回、勝ち越し適時打を放ちガッツポーズを決める智弁学園・佐坂悠登(14日)
 健大高崎戦9回、中前に勝ち越し適時打を放つ智弁学園・佐坂悠登(14日)
 準々決勝で敗退し、肩を落とす智弁学園ナイン(19日)
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 「全国高校野球選手権・準々決勝、京都国際4-0智弁学園」(19日、甲子園球場)

 7日に開幕した大会も、残すは準決勝と決勝となりました。勝ち上がった4チームについては準決勝の戦いを楽しみたいですが、惜しくも夏が終わってしまったチームの中で、触れさせてもらいたいのが、準々決勝で京都国際に敗れた智弁学園です。

 奈良大会から見てきたというのもありますが、今年は、例えば同校OBで阪神の前川右京君のように、飛び抜けた選手がいない中でも、みんなで力を合わせてここまでやってきたチームです。その中で注目していた一人が、佐坂悠登内野手(3年)でした。

 京都国際戦ではヒットこそ出なかったですが、好走塁や好守もあり、今春センバツ王者の健大高崎との2回戦では決勝打を放つ活躍。彼は元々、徳島県の阿南出身で、今春センバツで8強だった阿南光の、エースの吉岡君やキャッチャーの井坂君とは小学生の時からの野球仲間だそうです。

 佐坂君としては、地元を離れて智弁学園に進んだけど、3年生になって選抜に出られなかった。一方で、地元の学校で選抜に出て活躍した仲間がいた。だから、奈良大会の時から「(地元を離れて)こっちに来たんで夏は甲子園に出ないと格好がつきません」と言っていたと。夏にかける思いが強く、2打席連続ホームランを記録する試合もあった中でつかんだ、夏の甲子園だったんです。

 OBの方からも佐坂君のことは聞いていたんです。「あいつは一人で、学校のグラウンド周りのゴミ拾いとか、草むしりをやったりしてるわ」と。チームの決まり事でもなければ、誰かに言われたわけでもない。野球につながるという思いからなのかもしれないですが、そういった選手が報われてほしいなと思っていたので、活躍してくれたことがうれしくて。十分に格好がついたというか、地元の仲間も喜んでくれているのではと。

 今回は佐坂君に触れましたが、越境入学している選手は全国を見ても多いと思いますし、だからこその決意であったり、送り出すご家族の思いもあります。選手の数だけドラマがあるもので、残り3試合も楽しみに見させてもらいます。

 ◆かみじょうたけし(本名・上条剛志)1977年12月31日生まれ。兵庫県淡路市出身。龍谷大卒。身長170センチ、50キロ。高校野球大好き芸人として知られる。趣味・特技は競輪予想、モノマネ。

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