清宮 雨の聖地で誓った“2年後世界一”
「U-18W杯・決勝、日本1-2米国」(6日、甲子園)
日本は決勝で米国に惜敗し、初優勝を逃した。三回に2点の先制を許し、六回に1点を返したものの、逆転はならなかった。4番に座った清宮幸太郎内野手(早実・1年)は4打数1安打。チームを勝利に導けなかった責任を口にし、2017年にカナダで行われる次回大会で悲願の世界一をつかむことを誓った。米国は大会3連覇で8度目の優勝を果たした。
あと一歩が遠かった。歓喜の雄たけびを上げる米国ナインの輪を、清宮はじっと見つめ続けた。「悔しいです。何の力にもなれなかった。申し訳ない気持ちでいっぱい」。目を赤くして涙を浮かべ、主砲の働きができなかったことを悔やんだ。
世界一への執念がほとばしったのは六回だ。2番・津田の右前適時打で1点差に追い上げ、なお2死一、二塁の場面。芯を外され、ボテボテのゴロが二塁手の前に転がると、必死に一塁へ駆け込んだ。「やっちゃった、と思ったけど、全力で走りました」。2死満塁に好機を広げた。しかし、続く平沢の打球は一塁手のグラブをはじきながら、間一髪でアウトに。同点とはならなかったが、チーム一丸の攻撃に聖地のスタンドは大拍手に包まれた。
日本の4番としての責任感が裏目に出た。今大会は27打数6安打2打点。「何としてもという思いが強すぎて、リラックスできなかったのはある」。楽しむ気持ちから、ズバ抜けた集中力が生まれるのが清宮のスタイル。本来の打撃ができなかった。
それでも、日の丸の下に集った日々は最高の糧となる。各校では主力中の主力のメンバーが、縁の下の役割もいとわない姿は、心に焼き付いた。凡打にも感情をあらわにすることはなくなった。西谷浩一監督(45)は、12年大会を経験して13年大会で主将を務めた森(現西武)の名を挙げ「清宮くんも成長して、もう一度(代表に)入って、この悔しさを晴らしてもらいたい」と期待した。
悲願の世界一はお預け。2大会連続でチームを準優勝に導いた西谷監督は「選手は本当によくやってくれた。その頑張りを、勝つという喜びに変えられなくて残念」と、ナインをねぎらった。20人の日の丸戦士の中で、清宮にだけは雪辱のチャンスがある。「もう二度とこんな思いはしたくない。絶対に戻ってきたい。世界一しかないです」。2年後、カナダの地で、必ず頂点に立つ。